平成考現学
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平成考現学 混迷の時代を読む技術

大前研一の'分身'が、先行き不透明な時代を、グローバルな視点と大胆な発想で読み解く。目からウロコの卓見、洞察、提言を一挙掲載!

著者:小後遊二 , 大前研一 / 1,400 円 / 書店様用申込用紙

 弊社新刊「平成考現学 混迷の時代を読む技術」の特設ページです。
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◆「やらせメール」(2011年8月号)

 共産党やグリーンピースが、原発反対運動や地元住民説明会に支持者を総動員して騒ぎ立てるのは公知の事実だ。 自分たちが動員するのはよくて、電力会社が動員した場合に「やらせ」と批判するとは、いったいどういう神経なのか。

 停止中の玄海原発再稼働の是非をめぐり、国主催の討論会で意見を募ったところ、「再稼働に賛成」が多数を占めた。それは九州電力が組織ぐるみで社員や関連会社に協力を要請したから――。事実が露見してマスコミは大騒ぎとなり、海江田万里経産大臣が九電の眞部利應社長に辞任を要求する事態に発展した。この騒動、協力要請を受けた関連企業の社員が日本共産党に情報をリークしたことで明るみになり、鹿児島県議会に呼ばれた九電幹部がやらせメールの存在そのものを否定したことで騒ぎが広がった。

 しかし、この事件はどこか〝変〞である。存亡のかかった企業が、その持てる全ての経営資源を投入して自己防衛を図るのは当たり前のことである。それに、共産党やグリーンピースが原発反対運動や地元住民説明会に支持者を総動員して騒ぎ立てるのは公知の事実だ。自分たちが動員するのはよくて電力会社が動員した場合に「やらせ」と批判するとは、いったいどういう神経なのか。公明党が選挙で宗教団体に総動員をかけるのは周知の事実だし、アマゾンの書籍やCDランキングでも、企業や経営者関連の書籍が出販されると、当事者たちが無理矢理サイトを通じて購入し、ランキングをつり上げるのは日常茶飯事である。音楽事務所やタレント事務所では、この手の「やらせ」と「動員」は重要なミッションだ。

 一般に、捕鯨でも原子力でも、反対運動の方が動員しやすく、マスコミにも取り上げられやすい。「原発推進で盛り上がった」では記事にならないが、「原子炉建設反対の大集会が開かれた」と書けば記事になる。国が玄海原発再稼働の是非を問う討論会を主催するとなれば、賛成・反対両派が人員を動員するのは当然予想されたことである。賛成意見のやらせを問題にするのなら、反対意見を述べた側に動員とやらせがなかったのかも調査すべきだ。おそらく、「お互い様」という背景が明らかになるはずだ。

 そもそも、「朝日新聞的戦後民主主義」と言われるものの多くが、左派勢力による世論操作であった。今回も、朝日新聞だけは菅直人首相の「脱原発宣言」をいち早く支持した。これは「核なき世界の実現」を菅発言の延長線上に見ているからだろう。それは「正しい方向」なのかもしれないが、時間軸やコスト、産業へのインパクトを考えれば、現時点では「正しい決定」とは言いがたい。玄海の再稼働が困難な状況となったいま、定期点検中の原子炉を再稼働する方法については全く目途が立っていない。点検を終えて再稼働し、調整運転中だった関電の大飯原子炉も硼酸注入系のトラブルから再停止に追い込まれた。これを稼働するのは容易ではない。原子力安全委員会も保安院も、そして経産省さえも国民の信頼を失ってしまった今、誰が何をどう説明すれば地元住民の賛成を得られるのか。

 原子炉への恐怖を訴える「子供を持つ母親」やグリーンピースが動員され、マスコミが偏向報道すれば、自治体の首長も「再稼働OK」とは言えないだろう。産業界や電力会社は、今回の騒動で間違っても「やらせ」や「動員」はできなくなった。つまり、首長に届く声が大きく歪んだものになっても、手の打ちようがない。その最悪のシナリオを避けるためにも、九電には「やらせのどこが悪い!」と開き直ってもらいたかった。企業の死活問題であるだけでなく、九州経済にとっても致命的な電力不足を避ける唯一、最後の分水嶺だった。

 国策で進めてきた原子炉建設、そして玄海でやっているプルサーマル。いずれも経産省の強い指導のもとに進められた。その経産省が敵前逃亡、やらせメールの責任を九電幹部に被せ、海江田大臣が眞部社長の退陣を要求した。この問題がおかしくなったのは、経産大臣が「安全」と判定したものを、菅政権が1週間後に「ストレステスト」という形で覆してからだ。九電も玄海を抱える自治体の長も被害者だ。眞部社長は絶対に退陣すべきではない。反原発グループのやらせと動員を暴き、マスコミの理不尽さを突き、トカゲの尻尾切りに走る経産省のいい加減さを白日の下に晒してもらいたい。

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