ストーリー
(前略)
「夏野クン!」
それはこの会社で一番エライ人、社長の声だった。おそるおそる顔をあげた日葵の前に、背はあまり高くない眼鏡の大男が腕を組んで立っていた。そしてその口から、再び大声が飛び出し日葵を襲った。
「君、明日から経理やってくれ!」
「はぁ?」
間の抜けた声で応じる日葵にかまわず、大声の主は続けた。
「経理の山口春乃君が退職することになった。で、その後は君にやってもらう」
「えぇぇ? 山口さん辞めちゃうんですか?」
「なんでも親御さんの介護が忙しいとかで、実は前から辞めたいと言ってたんだよ。でもね、君も知る通り、この渡辺大介! 創業以来この10年、菓子作り一本! 経理のことなど皆目わからない! ちんぷんかんぷんだ!」
「はぁ…(自慢になるかよ)…」
「だから、山口君には、なんとかだましだまし今まで続けてもらっていたんだが、それも限界でね。今日、辞めても良いって言わされちゃったんだ! あっはっは!」
「…それはぁ…なんとも」
「で、山口君に、あとどうしようかって相談したら、君の名前が挙がったんだよ!」
「でへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?なんでですかぁぁぁぁぁ?」
「君、後輩だって言うじゃないの! 山口君の! 商業高校卒業だったよね! だから大丈夫だよね! しかも、あの山口君が名を挙げるんだから、間違いないよね!」
(……後略)
…というわけで、突然経理担当に転属させられた夏野日葵(なつのひなた)。先輩の春乃さんや税理士の指導、経理セミナーなどへの参加を通じて、イチから「経理の仕事」を学んでいきます。果たして2ヶ月で「決算書作成」まで到達するのでしょうか?