世界的なカーボンニュートラルの潮流を追い風に再生可能エネルギーへのシフトが加速する一方で、太陽光発電や新電力事業が“経営破綻、犯罪の温床”と化している。
太陽光や新電力には新規参入が相次ぎ、金融機関も湯水のごとく資金を流してきた結果、急成長の歪みが一気に露呈。細野豪志衆院議員への献金スキャンダルで知られる太陽光発電のJCサービス(負債153億円)やグリーンインフレンディング(同128億円)、新電力では大手のF‐Power(同464億円)、パネイル(同60億円)と立て続けに経営破綻。コロナ融資で倒産が抑制されるなかで、エネルギー関連の大型倒産は際立っている。水面下では倒産予備軍は驚くほど多く、今後も関連倒産ラッシュは避けられそうもない。
太陽光発電事業などでは、地上げから許認可、資金調達を巡って怪しげな輩が跋扈。権利の売買も活発なため、犯罪や不正取引の温床になりやすい。再生可能エネルギー絡みの投資詐欺や経営不振に陥った新興上場企業が架空の太陽光事業をぶち上げて株価を吊り上げるケースも頻発するなど、とにかくトラブルや不祥事が絶えない。
そういえば、人災の可能性も指摘される今年7月の熱海・伊豆山の土石流災害でも、土石流の発端となった不可解な「盛り土」はメガソーラー用地が含まれ、前所有者は特殊団体幹部、現在の所有者である中堅の建設グループの実権者は過去に脱税で逮捕歴がある。
そのほかでは、さきのJCサービスと接点がある太陽光発電施設の権利売買を手がけるA社は融資詐欺容疑で捜査当局が内偵中の模様。ちなみに、A社代表の妻は新進気鋭の評論家。太陽光発電施設施工B社では金融ブローカーが暗躍、破綻は秒読みに入っている。
今年5月、東京地検特捜部は太陽光やバイオマス発電を手がけるテクノシステムの生田尚之代表を融資金詐欺容疑で逮捕した。生田被告は小泉純一郎・孝太郎親子を広告塔に据えたり、小池百合子東京都知事の元秘書を取り込むなどあらゆる人脈を利用、太陽光発電所案件ではJCサービスとの連携で多額の融資を引き出していた。
そして再び、関係者の注目を集めているのが、テクノシステム事件でも重要な役割を担っていた政策シンクタンク・大樹総研の矢島義也氏だ。同氏は政治家への献金問題や霞が関との癒着など事あるごとにその存在が取り沙汰される、いわゆる“政界フィクサー”。菅義偉首相や二階俊博自民党幹事長、さらには経済産業省など官僚にも食い込むなど政官に太いパイプを持ち、太陽光発電事業でも様々な口利きによって利益を手中に収めてきたという。こうして、再生可能エネルギーを舞台に政治家や官僚、政商らが環境利権に群がる実態が次々と明るみになっているわけだが、アングラ勢力の介入も相まってその闇は果てしなく深い。
(後略)