記事(一部抜粋):2021年2月号掲載

経 済

増殖する飲食「倒産予備軍」

【情報源】

「コロナ収束後、外食市場は3割縮小する」(大手外食チェーン幹部)──。今回のコロナ禍の最大の被害者は外食産業である。感染拡大で臨時休業や時短営業を強いられ、上場企業でも軒並み最終赤字に転落。大手のコロワイドが196店舗の閉鎖を決めるなど市場の縮小にも歯止めがかからない。アフターコロナではリモートワークの普及や様々な感染症対応の常態化など生活スタイルは大きく変化、外食市場はもはや構造的なシュリンクは避けられないということだ。
 とりわけ厳しいのが、繁華街やビジネス街主体の居酒屋。コロナ禍で客離れが定着、2度目の緊急事態宣言でも飲食業が狙い撃ちされ、またしても大半の需要を失う。コロナ前から競合激化と人件費の高騰で青息吐息だっただけに、今度こそトドメを刺される。
 従来から飲食業者は手元資金が少なく、損益分岐点も高い。ちなみに換金性の高い資産は上場企業でも1カ月足らず、収益も極めて低い。例えば大手ですら営業利益率はおよそ5%、中小・個人は3%に満たない。「小規模業者は1カ月の休業で1年分の利益が消失する」(金融関係者)というのだから、中小零細は瞬く間に資金繰り破綻に至る。
 民間信用調査機関によると、昨年の「飲食店倒産」は780件と過去最悪を記録した。そのうち「居酒屋」は189件と4分の1を占め、負債額では5000万円未満が8割と零細規模に集中、さらに休廃業は倒産の数倍にも達する。
 今後は体力の乏しい中堅業者の消滅にも拍車がかかり、それは上場企業とて例外ではない。当面は、年商数十億円から100億円クラスの上場企業の行方が焦点になる。都心一等地で複数の業態の飲食店を約40運営する東証2部上場のA社は、コロナ関連融資とテナント料や給与の減額でかろうじて命脈を保っている。約100店舗の居酒屋を展開するマザーズ上場B社は、取引銀行に見放された末に投資ファンドや怪しげな企業からの資金調達を強いられている。
(後略)

 

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