記事(一部抜粋):2020年11月号掲載

社会・文化

ジャパンライフ本社ビル売却の裏

仲介者は「かぼちゃの馬車」二次被害詐欺の首謀者

 延べ1万人以上から2000億円以上を違法に集めた挙げ句に経営破綻し、山口隆祥元会長らが詐欺容疑で逮捕されたジャパンライフ。集めた資金の一部は国会議員への献金に使われたことがわかっているが、「全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会」によると、山口元会長の個人資産は約200万円しか見つかっていないといい、被害者が損害を回復するのは困難な状況にある。めぼしい資産はすでに大方が売り払われたか、どこかへ隠蔽されたのだ。
 ジャパンライフは東京・西神田に自社ビルを所有していたが、これも消費者庁が同社に4度目の立ち入り調査に入る3日前、2017年12月12日に売却されている。世間的には山口元会長や娘のひろみ元社長ら「創業者一族」ばかりに注目が集まるが、本社ビルの売却を仲介した人物に当局が強い関心を寄せているという。
 まずは本社ビルの変遷を確認しておこう。千代田区西神田のこのビルは2008年から17年12月12日までジャパンライフが本社ビルとして使用していた。次いで同ビルから歩いて数分の距離にある「S建物」が所有権を取得し、極度額8億4000万円の根抵当権が設定された。それから1年を経ずして18年9月に「少年画報社」に所有権が移っている。同社はマンガ雑誌やコミックスの発行で広く知られる会社である。
 仲介人Aはこのプロセスで仲介手数料をせしめたという。さる事情通によると、Aは売却価格の1%、Aと関係のある不動産会社Tエステートが2%を受け取ったという。
「最初にビルを購入したS建物は、近隣であることからしてもジャパンライフの状況を知っていたはずで、転売のいわば矢面に立った形です。ちなみに同社の代表取締役は過去に所得税法違反容疑に問われ最高裁まで争った人物。一方、現在の所有者である少年画報社は善意の第三者という立場でしょう。問題は仲介人のA。矢面に立たずに手数料だけせしめるAを、ジャパンライフ側があえて選んだフシがある」(業界関係者)
 この関係者によると、Aは「NPO法人青年協議会」という団体につながっているという。
「同協議会の代表は故園田博之衆議院議員の秘書を務めていたというB。この団体は街頭募金活動を全国規模で展開し、青少年育成、被災地の犬猫支援、相馬慰霊事業などをおこなっているとのこと。たとえば被災地の犬猫支援では寄付を募るほか、被災地で助けたと称する犬猫を実際に販売することもあった。以前は東日本大震災、最近は熊本地震の犬猫といった具合です。実際には被災地とは関係なく捕らえてきたり、処分場から引き取ってきた犬猫で、これを通行人の善意につけ込んで売る。このビジネス(?)を考案したのがAで、『犬がどこの出身と喋るワケないから』『自民党にもカネを入れているし』などと話していた。次のアイテムは復興住宅だとも……。老人や弱者、被災地の悪利用。その精神構造がジャパンライフとシンクロしたのでしょう」
 ちなみに、同協議会の代表であるBは今年6月、水戸市の女性からキャッシュカードを騙しとり、現金を引き出したとして逮捕され、この9月に執行猶予付きの有罪判決を受けている。
 Aが当局にマークされるようになったのは、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」に投資して損失を被った投資家に「被害回復型詐欺」を仕掛けたのがきっかけだとされる。
(後略) 

 

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