(前略)
一方、ジャパンライフに比べればマスコミ報道は皆無に等しいものの、詐欺疑惑は濃厚だし、被害額も約60億円と決して小さくないのが、安倍前首相の夫人・昭恵氏が広告塔役を務めていた「Hana倶楽部」だ。同倶楽部はセレブ志向の中高年女性を会員にした交流の場で、「ロゼッタホールディングス」という会社が実質的に運営、化粧品や宝石、果ては不動産まで売りつけていたが、18年2月、事実上倒産した。
実はこのHana倶楽部を経営し会長と呼ばれていた人物が、過去にやはりマルチ企業を2社経営し、07年、12年と2度行政処分を食らった前科があったこともわかっている。
マルチ企業といえば、桜を見る会での安倍夫婦との写真、さらには昭恵夫人が経営に参加する地元・下関市の簡易宿泊施設「UZUハウス」に出資していた事実を信用づけにやはり悪用した淡路明人被告も、マルチ方式で「クローバーコイン」という詐欺的仮想通貨を発行していた。もっとも、彼が現在被告なのは、この仮想通貨発行ではなく、秋元司衆議院議員の贈収賄事件に絡む証人買収の件だ。
そして、昭恵氏はこのHana倶楽部の関連雑誌にも登場し、「普通なら総理夫人としてやめた方がいいと思うかも知れない(いろんなイベントに参加すること)。でも批判されてもニュースとして取り上げられて興味を持ってくれたらいい」などとインタビューに答えていた。
これだけなら、首相夫人という重要な地位をまったく理解せず、救い難いものの、またあの昭恵氏が……と思われるだけかもしれない。しかし、同倶楽部の募集などの広告を掲載していた『ポリスマガジン』という警察専門月刊誌は、安倍前首相だけでなく父・晋太郎氏とも深い関わりがあったのだ。
同誌の表紙に少なくとも安倍首相(当時)は2度登場。そして「警察の信用がなければここに広告は出せない」とこれまた信用づけに悪用されたわけだが、実は同誌の発行人はかつて安倍前首相が心酔していた新興宗教まがいのコンサルタント会社「慧光塾」の光永仁美代表(教祖)だった。
そして、教祖が死去(05年7月)した後を継いで現在も同誌を出しているのは、安倍前首相と昭恵夫人を母・洋子氏に頼まれ引き合わせ結婚に導いた地元紙『山口新聞』の東京支局長をしていた人物。
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