記事(一部抜粋):2020年8月号掲載

経 済

レオパレス21に巣食う獅子身中の虫

経営危機を招いた元凶に株主からレッドカード

 おそらく後年、経済学の教科書に「コロナ不況元年」と記される今年、針の筵に座る気分で株主総会を開いた上場企業経営者は少なくあるまい。観光業界しかり、運輸やサービス業界しかりだが、その中でも最も厳しい株主総会に臨んだ企業はどこだったのか。
 経済誌のベテランデスクによれば、意外なことに、それはコロナウイルスと直接には結びつかないサブリース大手「レオパレス21」に違いないという。
 確かに、レオパレス21は業界最大手の一つに数えられていたものの、アパートの施工不良問題が発覚した2年前の5月から危機が始まり、株価暴落に乗じた旧村上ファンド系企業に株を買い占められ、臨時株主総会で役員を送り込まれそうになった。
 経営陣は何とかそのピンチを凌いだものの、今年3月の決算は800億円以上の大赤字(前の期も680億円の赤字)。自己資本比率は0.7%と債務超過ギリギリのラインを低空飛行中である。
「グアム島にある巨大なリゾートホテルの売却、1000規模のリストラなど、経営側も色々と手を打ってはいるものの、業績悪化の速度に追いつかず、全く楽観できません。改修工事の遅れや入居率の低下、株価、資金繰りなど危機が複合的に積み重なっていて、企業として生き残るためには、死中に活を求める覚悟が必要な状況になっているのです」(ベテランデスク)
 7月22日午前9時、小雨が降る中、レオパレス21の株主総会は東京都中野区の本社で開催された。出席した株主がこう語る。
「コロナの感染対策として、先着60〜70人の株主に限定して行われました。出席者は第一会場と第二会場に別れ、第二会場はモニター越しに参加する形です。冒頭の30分ほど、事業説明のビデオ映像を見た後に、株主による質疑応答が行われたのです」
 最初は経営状況や施工不良の改修工事に関する一般的な質問が多かったが、しばらくすると、レオパレス21の一部オーナーたちが加盟する反レオパレス的な団体「LPオーナー会」に対する苦情が出始めたという。
 株主が続ける。
「例えば、オーナー兼株主の方からは、今後の経営にとって本当に必要なのは、LPオーナー会を排除することではないかという意見がありました。LPオーナー会がレオパレスに打撃を与え続けているから経営も株価も安定しないのではないかというわけです。宮尾文也社長は、LPオーナー会の代表との契約を打ち切れという意見について『受け止める』と応えていたので、そちらの方向に話が進むことを期待しています」
 槍玉に挙がったこのLPオーナー会については、本誌でも何度か報じたことがある。現在も代表を務める前田和彦氏が2014年に名古屋で設立した団体で、現在も200名程度の会員が在籍しているという。
 3年ほど前までは、修繕費用の返還などを目的としたレオパレス21に対する集団訴訟が主な活動だったが、18年5月、テレビ東京の「ガイアの夜明け」に協力して、アパートの天井裏に界壁がないことをすっぱ抜かせた。言ってみれば、レオパレス21の施工不良問題の火付け役であり、レオパレス側から見れば現在の経営危機を招いた元凶のような団体だ。
「巨大な上場企業の不正を暴いたと言えば聞こえはいいけど、全国に2万人以上いる大半のレオパレスオーナーからすると、ここまで企業イメージに傷をつけ、株価を暴落させて、一体、何がしたいのか、誰が得をするのか、さっぱりわからない。万が一にもレオパレスが倒れるようなことがあれば、根本のサブリース契約も何もかもなくなってしまうのだから、その意味で獅子身中の虫です。そもそも、レオパレス21がLPオーナー会の会員たちと今も契約を続け、アパートの空き室の家賃を支払っていることが、お人良しすぎると思いますね」(同)
 最近、このLPオーナー会は、未加入のレオパレスオーナーたちにダイレクトメールを送り、入会を勧めているという。
(後略)

 

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