未曽有の“コロナ・シッョク”の直撃で航空から自動車、電機、流通、サービス業まで総崩れの様相だが、いわゆる“裏の世界”も甚大なダメージを受けている。
構成員の離脱に歯止めがかからず、六代目山口組と神戸山口組が「特定抗争指定暴力団」に認定されるなど身動きが取れない暴力団にも、新型コロナウイルス禍が襲い掛かっている。休業要請によって飲食店などからのみかじめ料は激減どころか、ほぼゼロ。暴力団排除条例で資金源が途絶えていたところへコロナの追い打ちである。一方で、様々なコロナ対策も強いられている。何しろこの業界の高齢化は著しく、稲川会でコロナが重症化した組員が出たように基礎疾患を抱える組長、組員は多い。そこで、「月1回の定例会を中止、傘下組織では本部の人員を減らし、組事務所を一時閉鎖するところもあった」(警察関係者)という。ようやく開かれた会合でも親分衆や組員は全員マスクを着用してセンサー体温計でチェック、一定の距離を取るソーシャルディスタンスまで実践しているというのだから驚きだ。会場でも3密を避けるように親分のみが出席、ガードの組員は会場の外で待機しているらしい。
こうして暴力団は「枯渇するシノギ」と「警察当局の締め付け」、そして「コロナ禍」の三重苦に喘いでいるわけだが、5月には神戸山口組の直参組長が引退・解散に踏み切り、分裂した任侠山口組(現絆會)にも解散の噂が流れるなど組織の弱体化が加速している。果たして、コロナ明け後に山口組統一抗争に転じるほどのエネルギーが残っているのだろうか。
コロナ騒動で最も痛めつけられたのが飲食業界。緊急事態宣言解除に伴う営業再開後も「どこまで客足が戻ってくるのか。たとえ戻ってきても席数の減少などでパイは縮小、売り上げは戻らない」(ダイニングバー経営者)と不安を隠せない。2カ月余りの休業を余儀なくされた居酒屋の廃業が相次ぎ、ひっそりと姿を消す有名料亭や老舗バー、高級クラブも後を絶たない。銀座のホステスたちが消えたことで高級ブランド品の売れ行きもパタリと止まり、花屋や酒屋、おしぼりなどの出入り業者では売掛金の回収が滞り、倒産の危機に瀕しているところもある。銀座や新宿・歌舞伎町、北新地といったわが国有数の歓楽街の姿は、コロナ禍を契機に大きく変わるかもしれない。
全国で30万人を超える風俗嬢やキャバクラ嬢はさらに悲惨だ。
(後略)