コロナ・ショックの煽りを受けた「新型コロナウイルス関連倒産」の増加ペースが加速している。2月21日の北海道三富屋(コロッケ製造)を皮切りに5月には名門アパレルのレナウンが民事再生法を申請するなど、3カ月余りで180件近くが倒産、もしくは事業停止に至っている。実はこのコロナ関連倒産、感染収束後もかなりの長期にわたって続き、常態化していく公算が大きい。最終的にその数は数万どころか、倒産にカウントされない廃業を含めると中小零細を中心に数十万社レベルに達する可能性すらある。それに伴って、長らく放置されてきたゾンビ企業の整理も粛々と進むことになる。
これまでのコロナ関連倒産を分析すると、業種ではホテル・旅館や飲食、アパレルが過半を占めるが、そのほかパチンコや学習塾、美容院、結婚式場など多岐にわたり、全国で工事中断を強いられた建設やサプライチェーンを断たれた製造も目立ち始めた。負債規模では10億円未満が約9割と大半を中小企業が占めている。
業績をみると債務超過に陥っていた企業が約4割、赤字が約6割にも達し、売上高がピークから半減していた企業は約4割を占める。さらに金融機関から返済猶予を受けていた企業は3割を超え、取引先に対して支払いの遅延や延期要請をしていたところも少なくない。つまり、これまでの倒産の多くはコロナ発生以前から業績が悪化していたわけで、コロナが最後の引き金を引いたとはいえ、経営基盤の脆弱だった企業が急激な需要の蒸発に直面して経営破綻を強いられているのが実態なのだ。
コロナ関連倒産は、①インバウンド需要の急減や米中摩擦、消費の低迷などで業績が落ち込んでいたところへ追い打ち、②コロナ禍の影響を受けて一定のタイムラグを経て資金繰りが詰まる、③後継者難、事業の将来性から今回を機に事業継続を断念、法的整理へ──という3パターンに分類できる。感染拡大直後はコロナを口実にした倒産も見受けられたが、これまでの多くが①の追い打ち・ダメ押し型に該当、時間の経過とともに②のコロナの影響を受けた本来の形へ移行することになる。そして、後継者難などにコロナ禍がトリガーを引く③は倒産のみならず、廃業や身売りの後押し要因にもなる。
今回の最大の特徴は、「コロナの影響を受けていない倒産企業を探すほうが難しい」(金融関係者)ほど、とにかく幅広い業界で規模、地域を問わず関連倒産が発生していることである。2003年の「SARS(重症急性呼吸器症候群)関連倒産」だけでなく、バブル崩壊や金融危機、リーマン・ショックといった過去のリスクイベントの関連倒産とは明らかに異なり、今回のコロナ関連は川上から川下産業、中小零細から大手まで甚大なダメージが及び、従来の枠組みを突き崩そうとしている。これこそ、今回のコロナ・シッョクが単なるリスクイベントにとどまらず、世界の政治・経済・社会システムを根底から覆すとされる所以でもある。
(後略)