記事(一部抜粋):2020年5月号掲載

政 治

新型コロナ禍対応に見る政治の無能

【コバセツの視点】小林節

 今、この国というよりも世界中が新型コロナウイルス対策を中心にして動いている……と言っても過言ではない。
 しかし、この新コロナ禍に直面したわが国の対応について、これ程に政府が無能であったのか……と驚いている人は多いようである。私も同感である。
 政府は、国内の誰よりも正確な情報を早く、しかも確信を持って入手できる立場にある。だから、政府は昨年末の段階で、今回の感染症が、新種であるために、私たちには免疫もワクチンも治療薬もないことを知っていた筈である。
 となると、採るべき対抗策はそのウイルスをわが国に入れないことに尽きる。だから、政府としては、何よりもまず第一に、発生地中国からわが国への人(ウイルスのキャリア)の流入を止めるべきであった。にもかかわらず、政府は最近までその流れを本気で止めようとはしなかった。その結果が現在のパンデミック(全国的感染流行)であり緊急事態宣言である。
 この様に政府の対応が遅れた理由は、政府は認めていないが、中国春節旅行者がもたらす金銭と中国国家主席の来日と東京オリンピックを無事受け容れたい……という政府の思惑だったと言われている。政府がいくら否定してもこの思惑は歴然としていた。
 しかし、直前に治療方法のない悪質なウイルスのキャリアの大量入国を許しておいて、どうして「無事」国賓やオリンピックを受け容れられると考えるのか? 頭がおかしいとしか言いようがない。
 しかも、それが、あの「戦争法(平和安全法制?)」を制定した際に「国民の生命と財産を守ることが政府の第一の仕事」だと大見得を切った首相が率いる政府であるのだから、呆れて物が言えない。
 中国の主席の来日とオリンピックの延期が決まり、WHOがパンデミックと認定した後に、医学の専門家集団が様々に緊急事態宣言を発することを求めても、政府の反応は鈍かった。しかも、その際の言い訳が「専門家の意見を聞いてから決める」であったことが、多くの失笑と苛立ちを招いた。多数の実績ある専門家たちが公然と緊急事態宣言の発令を求めているにもかかわらず、思考停止に陥っているかのように「専門家の意見を聞いてから」と繰り返す政府の存在は異様であった。
 その後、緊急事態宣言は出されたが、並行して発表された国民に対する支援策のピントがズレている。まず、全世帯に各2枚ずつマスクを郵送するという措置は、国民の失笑と怒りを買ってしまった。さらに、今回のコロナ禍で住民税免税点まで減収になった者にはそれを証明することを条件に30万円までを7月末には支給できるだろうという提案も、その実効性は明らかに疑わしい。
 今、喫緊の課題は二つである。第1が、感染を拡大させないことで、その為には検査の徹底と外出の自粛が不可避である。そして、第2が、国民生活と経済活動の維持で、その為には、一律の大幅減税が公平で即効性がある。しかし、現実にはそうなっていない。
 私は、団塊の世代として日本に生まれ育ち、職業人として国際社会で活動して来て、わが国は紛れもない先進国であると自信を持っていた。しかし、今回のコロナ禍に対するわが国の対応を見てこの自信が揺らいでしまった。
 国民全体が危機に晒されている時に政治がまともに機能していない。こんな日本はもはや一流の国家ではない。

 

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