記事(一部抜粋):2020年4月号掲載

連 載

後を絶たない仮想通貨詐欺 上場企業が関与、反社の影

【狙われるシルバー世代】山岡俊介

 仮想通貨の詐欺話については、すでにこの連載の167回目で「スピンドル」のケースなどを取り上げており、今どき珍しい話ではない。しかし、仮にもわが国の上場企業がそれをおこない、しかも、詐欺ではないかと抗議した一般投資家を元暴力団組員などの反社会的勢力を使って脅し、口封じまでしようとしたとなると、そんなバカなと驚かれるのではないだろうか。まさに「事実は小説より奇なり」だが、その「事実」を把握したのでお伝えしよう。
 その上場企業とは、名証セントレックス上場の「オウケイウェイヴ」。
 この会社、そもそもは利用者が質問・回答をしあうQ&Aサイトを運営する会社だ。ところが2017年9月、松田元氏という若手投資家(現在36歳)が仮想通貨事業を引っさげて取締役に就任。その後、同社が主体となって事業開発、技術支援した「Wobit」という仮想通貨(運営主体は「Wowoo」)が18年5月、海外の取引場に上場した。
 その間、この仮想通貨は大いに話題を呼び、オウケイウェイヴの株価は20倍近くに急騰した。その論功行賞からか、同年7月、同社の創業者で社長だった兼元謙任氏が会長に就き、松田氏が社長となる2人代表制に移行した。
 以降、完全におかしくなる。
 というのも、この仮想通貨Wobit、海外の取引所に上場はしたものの、その後、価格は下がる一方で、現在は上場時の1%以下の価値しかないからだ。多くの投資家は未公開株同様、上場すれば価値が急騰し大儲けできると思って飛びついたが、ほぼ無価値になってしまったのだ。
 もっとも、この間、上場した仮想通貨のほとんどは同じパターンを歩んでいる。そして、いずれも「それは投資家の自己責任」ということでお茶を濁している。
 ところが、このWobitに関しては、「自己責任論」では逃げ切れない理由があった。
 簡単にいうと、それはこの仮想通貨発行にあたり虚偽のIR(投資家向け情報提供)をしていたからだ。
 Wobitが大人気を呼び、この間のICOなどで約300億円もの資金を集めることができたのは、オウケイウェイヴという上場企業が深く関与しているという“お墨付き”があってのことだった。
 具体的には、マレーシアの子会社「OKfinc」が、Wobit発行主体のWowooに19%出資すると、オウケイウェイヴは17年10月27日に発表、11月1日には出資を完了した旨も発表していた。ところが、実際には出資していなかったのである。いま現在に至ってもだ。
(中略)
 では、具体的に脅しを受けたケースを紹介しよう。
 大阪府の一般投資家K氏は、松田社長らの著書を見せられ、松田社長、Token Newsの杉浦社長にも直接会って勧誘を受けた。その際、オウケイウェイヴは出資だけでなく、「Wowooを立ち上げた」「Wowooの母体」と説明されたことから、上場企業のトップが直にそこまでいうならと7000万円を投資。結果、大きな損失を出してしまった。その後、前述のように実際にはオウケイウェイヴは出資していなかったこと、また元組員のM氏らが一部損失補填を受けていることを知ったため、同様に補填してくれないかと要請した。
 ところが、まったく対応してもらえないどころか、19年9月、こんな出来事があったという。
 いくら連絡をとろうとしても応答がないことから、オウケイウェイヴの違法行為を金融庁に訴えて処分してもらう旨をラインで松田氏らに送ったところ、T(本名。偽名を名乗っている。元組員)という者が現れ、次のような言葉で脅迫したという。
「拉致してしまおうと思っていた」「U会長(複数の暴力団と親しい)の事務所に行くか」「(松田)元も(Token Newsの)杉浦もワシが全部面倒みちょる」「兼元もよお知っとる」「Wobitは全国のヤクザが買うとるんや」「ワシが親分に電話したら、全国のヤクザがその親分のいうこと聞くんや」「あんたのしとることは、全国のヤクザにケンカ売っとることやぞ」「それでもするか」
(中略)
 この脅迫事件では意外な人物の関わりも明らかになっている。
 脅迫の実行者である元組員の名刺の住所だが、これが、あの松尾真一氏が立ち上げ、現在、松尾氏の妻が代表を務めるA社(東京都中央区)の住所なのだ。
 松尾氏とは14年、既存の婚活サイトに女性社員を登録させ、結婚相手を探すふりをして知り合った男性に「二人の将来のために」などと偽って投資用マンションを購入させ、契約すると連絡を絶つという「婚活詐欺」を繰り返していたとして集団訴訟を受けた会社の代表を務めていた御仁。その翌年には巨額脱税の容疑で刑事告発されている。
(後略)

 

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