記事(一部抜粋):2020年3月号掲載

社会・文化

保険勧誘のかたわら投資詐欺 悪徳フィナンシャルプランナー

【狙われるシルバー世代】山岡俊介

 茨木県警は2月12日、不動産投資名目などで計2325万円を違法に集めたとして、柏木達哉容疑者(38)を出資法違反(預かり金の禁止)の疑いで逮捕した。
 柏木容疑者は2018年2月から19年5月にかけ、茨木県土浦市の40代の医者など計5人に対し、「東京五輪でますます儲かる。1カ月に10%の利益が出る。元本は保証する」と不動産投資や民泊の運用を持ちかけて現金を預かったが、資金を返金しなかったため、投資家が警察に相談していた。
 直接の逮捕容疑は前述の2325万円だが、県警は柏木容疑者の銀行口座の記録などから、少なくとも15年6月から20年1月までの間に全国の約150人から計3億6000万円を集めていたと見ている。
 この逮捕情報、大手マスコミの一部が地方版で報じただけということもあって、よくある詐欺師の一犯罪にすぎないと見過ごされてしまいそうだ。 
 だが、この事件、実際の被害者数は150人どころか数千人、被害総額は数百億円に達するとの見方もあり、それが事実なら、この柏木容疑者は“大物詐欺師”ということになる。
 本連載の182回目(19年12月号)では、タイの鉄鉱石鉱山への投資を謳い被害総額が300億円ともいわれる投資詐欺疑惑を取り上げているが、実は首謀者とされる丹羽時寛氏の下、中心的な勧誘者として名前が上がっていたのが、この柏木容疑者なのだ。
 マスコミ報道では「柏木容疑者は18年2月まで都内の会社で保険販売員として働いていた」とサラリと触れられているだけだが、筆者が今回、同容疑者を取り上げた最大の理由は、彼が社会的に信用度が高い生命保険会社の看板と、自身の肩書=フィナンシャルプランナー(FP)を最大限に利用し、それが被害の拡大につながった面があるからだ。
(中略)
 被害者の話を総合すると、柏木容疑者は長野県佐久市の出身。実家は接骨院をやっているようだ。
 そして、彼自身は特定の保険会社の営業マンではなく、複数の保険会社の商品を扱う大手保険代理店「FPパートナー」(東京都文京区)に長らく勤めていた。その後、「フィックス・ジャパン」に転職。冒頭で述べた18年2月まで勤めていた保険会社とはこのフィックスを指すようだ。
 なお在籍期間の長かったFPパートナーが主に扱っていた保険会社は、生命保険ではアフラック、東京海上日動あんしん生命、アクサ生命、オリックス生命、マニュライフ生命、三井住友海上あいおい生命で、損害保険は東京海上日動火災、三井住友海上火災、ソニー損保など。
 それでは筆者のもとに寄せられた被害者の声を紹介しよう。
 Tさん(女性)は、2013年にネットで保険相談を申し込んだところ、柏木容疑者が登場。複数の保険に加入した。さらに前述のタイ鉱山への投資話を持ちかけられ、13年9月から16年2月までに計1600万円を銀行口座(柏木容疑者とは別人の個人口座)に送金、もしくは保険加入の際に手渡しで支払ったという。しかし、以前の連載記事に書いたようにタイの鉱山事業は実態がなく、結局、Tさんが取り戻せたのは計216万円だけ。それどころか、19年3月、損害分を別の投資で取り返そうと持ちかけられ、それには入会証明のための160万円が必要といわれ(2週間後に返済という話だった)、支払ってしまった。
(後略)

 

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