記事(一部抜粋):2020年3月号掲載

経 済

「与信管理の緩み」極まれり

【情報源】

 企業倒産の潮目が大きく変わってきた。倒産件数は中小零細企業を中心に2019年に本格的な増加トレンドへ転換、今年1月まですでに5カ月連続で前年を上回っている。潮目の変化の要因は、まずは後継者難や将来見通しが立たないことから事業継続をあきらめる経営者が顕在化してきたことがある。さらに、中小企業金融円滑化法の実質終了や昨年12月の金融検査マニュアルの廃止によって金融機関の支援スタンスにも変化が見え始めていることから、長らく延命されてきた倒産予備軍が炙り出されてきた格好だ。
 こうしたなか、「倒産への動きが表面化してから、倒産までのスピードが速くなっている」(大手地銀審査部)という。倒産に直結する事前情報がないまま倒産に至るケースが増えているわけだが、背景には「与信管理体制の緩み」がある。ここ10年余り、金融機関は円滑化法の縛りによってほぼ無条件で返済猶予に応じてきた。その結果、日常的な取引先のチェックが疎かになり、金融機関や大手商社などの審査・与信機能がマヒ状態に陥り、それが企業の新陳代謝を阻むだけでなく、「倒産メカニズム」そのものを崩してしまったのだ。つまり、倒産の兆候がなかったわけではなく、情報をキャッチできなかったのである。
 与信管理の緩みとその弊害に直面する象徴が地方銀行。地銀はマイナス金利や融資先の減少で信用度の低い融資や管外への進出を強いられ、審査部門の人員削減も相まって「融資審査が甘くなり、目が行き届かなくなった」(中堅地銀幹部)。かといって業績や担保に捉われない“目利き力”などあるはずもなく、案の定、与信コストが急増している。
 地銀といえば、融資先で粉飾決算の発覚が相次いでいる。手口は売掛金や在庫の過大計上から循環取引による売上の水増しなど様々だが、最近は複数の「銀行借入明細」を作成、融資先に窮する金融機関から巧みに融資を引き出す手口が横行している。実はこうした粉飾は10年ほど前から始まっていたケースが大半を占める。例えば、10年にわたる粉飾で年商は公表の半分、実態は大幅な債務超過だった人気アパレル小売チェーンのリファクトリィ(東京)では地銀など20もの銀行全てが騙されたうえに突然、民事再生法を申請、大きな衝撃が走ったが、こうした事例は枚挙に暇がない。リーマン・ショック以降、実態は業績が回復していないにもかかわらず粉飾で回復を装い続け、銀行はそれを見抜けない。まさに与信管理機能の極度のマヒであり、経済の根幹を成す金融仲介機能の喪失である。
 一旦、緩んでしまった与信システムを立て直すのは容易ではなく、再構築にはかなりの時間とコスト、そして多額の不良債権という痛みを覚悟しなければならないだろう。
(後略)

 

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