記事(一部抜粋):2020年1月号掲載

政 治

安倍政権下における憲法破壊(その2)

【コバセツの視点】小林節

 前回(その1)は平和主義と人権について論及したが、今回(後半)は安倍政権における「政治権力者の堕落」を指摘しておきたい。
〈政治の私物化:法治主義の否定:人治主義〉
 憲法上、内閣は「法律を誠実に執行する」義務を負っている(73条1号)。そして、私たち国民は公権力により「平等に扱われる権利」を有している(14条)。だから、この国では誰でも同じ法律の下では同じ条件で扱われるはずである。しかし、現実に、モリカケ事件で露見したように、今、この国では、安倍首相夫人を名誉校長に戴いた小学校は、現実に、8億円もの国有地を事実上ただで「購入」できてしまった。また、安倍首相の語学留学以来の親友が理事長をしている学校法人は、教員名簿と蔵書が明らかに充足していないにもかかわらず、獣医学部の新設を認可され、地方自治体から100億円を超える助成を受け、以後、毎年億単位の国庫助成を受け続けることになった。まるで中世の王国における人治政治である。
 さらに、憲法上、内閣は「一般行政事務」を担っている(73条)。その中には功労者の表彰も含まれており、それはそれで社会生活の維持のために有益なことである。しかし、だからといって、首相主催の「桜を見る会」に首相自身の選挙区の有権者を1000人も招待してしまっては、国費の目的外使用(財政法違反)であり国費による買収(公選法違反)以外の何ものでもない。まさに国家の私物化である。
〈野党ひいては国会の否定〉
 憲法53条は「いずれかの院の四分の一以上の議員の要求があれば、内閣は臨時国会を召集しなければならない」と明記している。しかし、安倍内閣はそのような要求を無視して次の通常国会を迎えたことがある。これは、野党(少数派)の審議権を奪うだけでなく、国会自体を開かせないことであるから、三権分立(議院内閣制)の否定である。ひいては、議員を代言人として選出した主権者国民に対する反逆である。そして、野党からの質疑は最大限回避しながらも、与党が必要とする議案を通す時だけ国会を開き数の力で押し切るような国会運営は、議会制を否定した与党独裁体制以外の何ものでもない。
 モリカケ問題の場合にも桜を見る会についても、首相夫人がかかわっていた事実は明白である。だから野党は当然に同夫人等の当事者を国会に証人として招致することを要求した。しかし、それが実現したことは一度もない。なぜなら、招致の根拠となる国政調査権は『院』の権限であり(憲法62条)、院内多数派(自・公)がそれを拒むからである。ここでも、内閣の長および第一党の党首たる首相に忖度した院内多数派により三権分立が機能不全に陥らされている。
(後略)

 

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