B 世界の株式市場は米中貿易戦争やイギリスのEU離脱問題次第と言われ続けているけど、NYダウが最高値を更新した。
C なんだかんだいって、主要国の株価指数は年初から2割くらい上昇したんじゃない?
A メディアは株価が下押しすると米中貿易戦争のせいにするけど、トランプが大統領に就任して以来、貿易の影響によるアメリカのGDP減は0.3%にとどまっている。
C 英国のEU離脱問題だって、世界のGDPの中でイギリス経済の占める割合は3%ほど。さらに輸出はその3割程度だから、英国のEU離脱が世界経済に与える影響は1%くらいしかない。
B となると、やはり株価の動向に一番影響を与えるのは通貨の供給量だと?
A そう、マネタリーベースの推移が株価に一番影響を与える。日銀の動きを見ると、現在は前年同月比で3%ほど通貨供給量を増やし続けている。FRBはトランプの度重なる緩和圧力で、若干だが縮小額を減らし始めた。
C この日米のマネタリーベースの差が最近の円安の原因だろう。
B 弾劾問題で民主党や多くのメディアはトランプ叩きに精を出してるけど、金融関係者にとってトランプは救世主ということになるのかな。ところで、そのトランプの金融面でのアドバイザーは誰なの?
A 世界最大の投資ファンド「ブラックストーン」CEOのスティーブ・シュワルツマンらしい。トランプの古くからの友人だし、「大統領戦略政策フォーラム」の議長も務めている。
B ブラックストーンといえば、ユニゾホールディングス株を1株5000円でTOBすることが話題になったね。
C まだ決定したわけじゃない。7月10日にエイチ・アイ・エスが1株3100円でユニゾのTOBを表明すると、8月16日にはソフトバンクグループの連結子会社で投資ファンドのフォートレスがエイチ・アイ・エスのTOBに対抗する「白馬の騎士」として現われて、1株4000円でTOBを実施すると発表した。ユニゾはフォートレス、ブラックストーンとの協議を継続中だ。
B ソフトバンクの関連会社がTOBを表明したと思ったら、トランプの友人のシュワルツマンのブラックストーンがTOBに名乗りを上げるなんて、話が出来過ぎてると思わない?
A 同感。作家の副島隆彦は最近出した本のなかで「孫正義の親分はシュワルツマンで、アリババの出資も彼の指示だった」と書いている。その話が仮に本当だとすると、このTOB合戦は株価を吊り上げるための出来レースということになる。
(後略)