記事(一部抜粋):2019年10月号掲載

経 済

余剰トウモロコシでエタノール 災害時の電気エネルギーに?

【証券マン「オフレコ」座談会】

(前略)
B ところで、安倍が「ウィン・ウィンの関係」と力説していた日米貿易交渉だけど、日本がアメリカの牛肉や豚肉、その他農産物の関税を引き下げたのに対し、アメリカは日本の自動車の関税引き下げに応じなかった。それどころか、安倍はトランプから「中国が約束を守らないせいで我が国にはトウモロコシが余って困っている、何とかならないか?」とせがまれた途端、「すべて日本が買いましょう」と安請け合いしてしまったとか。
C フランスでの日米首脳会談後の記者会見でのやり取りが話題になったね。安倍が貿易交渉について話すと、トランプが「トウモロコシについても発言を」と催促した。安倍は「買うのは民間だから」とあまり気乗りしない態度だったが、トランプは「日本の民間は政府の言うことをよく聞く。米国と違う」と言って、公の場で安倍首相からトウモロコシ買いの言質をとった。
A そもそも、この余ったトウモロコシは大統領選でトランプに票を入れたアイオワ州の農家が生産したもの。アメリカではブッシュ政権時に、石油依存からの脱却名目でガソリンにエタノールを混合することが法律で義務付けられた。現在ではE15といってエタノールが15%混合されているガソリンもあり、アメリカではアイオワ州のトウモロコシ農家がその生産を担っている。
B ということは、食用じゃないということ?
A 遺伝子操作で作ったトウモロコシだから、食用にするのは難しい。飼料にするのも抵抗があると思う。
B そんな食用にならないもの買ってどうするつもりだろう。
C 日本の業界団体も「そんなもの必要ない」と言ってるらしい。だけど共同会見で「買うのは民間」と口走ってしまった以上、国が買うわけにもいかないだろうし。
A そこで“安倍経産省内閣”の腕の見せ所となるんじゃないかな? 案外、小泉進次郎の環境大臣への抜擢が意味を持つことになるかもしれない。
B そういえば小泉は入閣後すぐに台風被害に遭って電力が復旧しない千葉県を視察したよね。ひょっとして、Aさんが言いたいのは、大量に引き取ったトウモロコシをエタノールにして電気エネルギーとして、大規模停電や災害時に利用するということ?
A そう。アメリカを見るとエタノール精製業者は結構儲かるみたいだから、経産省が息のかかった業者を使うか、もしくは経産省の天下り先の独立行政法人を使うか。
C そこへ降って湧いたようなサウジアラビアの石油施設へのドローンによる攻撃で、原油先物価格が一時急騰した。とりあえず世界各国に備蓄があり、協調して減産していることもあって、今回の攻撃によって重要と供給のバランスが大幅に崩れることはない。ただ今回の一台160万円ほどのドローンによる攻撃によって莫大な防衛費をかけているサウジアラビアの石油施設が大きな打撃を受けたことの心理的影響は大きい。
(後略)

 

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