相次ぐ施工不良問題、その隠蔽による致命的なブランド失墜とビジネスモデルの崩壊で窮地に追い込まれているアパート賃貸大手のレオパレス21。今後は大幅な事業縮小が避けられないが、警戒感を強める金融関係者の間では問題の収束後に身売り、もしくは法的整理をセットにした事業譲渡の可能性さえ取り沙汰され始めた。
長年放置されてきた施工不良をアパートオーナーから告発された昨年5月に続いて、今年2月の大規模な施工不良の発覚で混乱が続く同社の2019年3月期決算は、補修工事や入居者の引っ越し負担などで400億円規模の最終赤字に転落する。自己資本は昨年3月末から12月末時点で500億円以上も減少、今回の問題でさらなる毀損は避けられない。一方で問題発覚後、マスコミ各社に幹部のセクハラやパワハラの杜撰な対応についての内部告発があり、隠蔽体質の根深さを改めて裏付けた。
地主からアパート建築を受注、完成後に一括で借り上げて転貸する「サブリース」と「家賃保証」で急成長を遂げてきた同社だが、オーナーに毎月一定の賃料を保証することから、入居者募集の停止や“レオパレス離れ”によって入居率が下がれば、家賃収入が保証賃料を下回る“逆ざや”となって資金流出が加速、いずれ手元資金は底を突く。
今回の施工不良は、多額のローンを抱える物件オーナーや退去を迫られている多くの入居者など社会問題化している。それだけに、先行きが見通せないなかで監督官庁や金融機関もこのタイミングでの倒産処理だけは避けたいのが本音だろう。その場合、銀行の支援体制が焦点となるが、これも一筋縄ではいきそうもない。単体で銀行からの借入金はほとんどなく、りそな銀行や三井住友銀行が社債を引き受けてはいるが、明確なメーンバンクは存在しない。アパートローンバブルが崩壊、不祥事の隠蔽でブランドが地に墜ちた同社に敢えて抜本的な救いの手を差し伸べる銀行があるのか、甚だ疑問である。そこで、まずは自己資金と若干のつなぎ融資によって問題の処理と業容の縮小を進める。その過程では純資産の減少による「上場廃止」も想定される。そして、「既存物件の管理事業程度に事業を縮小した後に、ゆくゆくは身売りや清算型の民事再生法の選択肢もあり得る」(金融関係者)とのシナリオが浮上している。
ところで、レオパレス21の連想から一部関係者の注目を集めているのがMDI(東京)。実はこのMDI、オーナーで代表取締役会長はレオパレスの創業者・深山祐助氏である。
(後略)