記事(一部抜粋):2019年1月号掲載

経 済

ファーウェイ騒動で得した企業の大株主はソフトバンク

【証券マン「オフレコ」座談会】

(前略)
A ゴーンが、「ブルータス(西川)、お前もか」と言いたい気持ちもわからなくもない。それにしても前号で指摘した「トヨタ自動車とソフトバンクの提携」が、日産・三菱連合を刺激し、ゴーン排除に動いたキッカケになった可能性が高いんじゃないかな。
B 独断と偏見で一連の動きを整理すると、世界で車を1000万台以上売る自動車連合としては、データをめぐる覇権争いに勝って自動運転化に挑まなければならない。失業率悪化で支持率が低迷する仏マクロン大統領としては、ルノーと日産連合を併合し日産の工場をフランスに移すことが支持率確保の必須条件だった。しかし、その動きを阻止するために日産・検察・官邸がタッグを組んで国策捜査と司法取引によってなんとかゴーン逮捕まで持ち込んだ。こんなところだろうか。
C マクロンの動きに経産省の幹部が「どんな手を使ってでも阻止する」と言っていたらしいから、経産省も加えなきゃならないけど、大筋はそんなところだろう。ただ、やり方が2010年に政治資金規正法違反容疑で小沢一郎の事務所を東京地検特捜部が家宅捜索した時とそっくりだ。
(中略)
B しかし、フランスも日本も、今後はAI(人口知能)自動車が世界各国の主要産業となる可能性が高いから必死なんだと思うよ。この動きに出遅れると国力の低下に直結する。なにしろ自動運転には現在の4Gとは桁違いの5Gネットワークの整備が必要で、5Gの整備によって米国だけで300万人の雇用と5000億ドルの経済効果を生み出すと言われている。だから、世界に先駆けてどんな手を使っても5Gのネットワークを構築したいんだと思う。
C その影響が色濃くでたのが中国の情報通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟CFOの逮捕だろう。ファーウェイは中国テクノロジーを象徴する存在で、5G争いで米国企業としのぎを削っている会社だ。
B たしかアルゼンチンで開催されたG20の後で、トランプと習近平が会談し、貿易問題がウィン・ウィンの関係になった矢先のことだったよね?
A トランプがツイッターで「アルゼンチンでの習首席との会談は大成功だった。中国との関係は大きく前進し、大きな成果がもたらされる」と投稿した矢先のこと。トランプは孟の逮捕については寝耳に水だったみたい。
C 中国は対抗する関税の引き上げを見送るだけでなく、米国から大豆と液化天然ガスを大量に輸入することで合意し、その見返りとして米国は懸念されていた中国の「為替操作」には言及しなかった。
B 孟の逮捕については米メディアでさえ「イラン制裁の違反などという容疑で、第二国の市民を他国で逮捕するのは極めて異例で、本当に起訴できるかどうかはわからない」と警鐘を鳴らすところもあった。
A ところで、この件で一番恩恵を受ける会社はどこだと思う。
B そりゃ、米国企業なんじゃないの?
C ファーウェイと5Gでしのぎを削っていた米クアルコムじゃないかな?
A 僕もクアルコムだと思うんだけど、そのクアルコムと5Gで共同開発を進めているのが米スプリントで、このクアルコムのチップセットの大部分が英ARMの技術であるということがポイントになる。
B 共通点は米スプリントと英ARMの大株主がソフトバンクだということだね。
(後略)

 

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