記事(一部抜粋):2018年7月号掲載

社会・文化

安倍首相が選挙妨害を依頼!?

“実行犯”が明かす衝撃の事実 (ジャーナリスト山岡俊介)

 今年2月、小山佐市なる人物(80歳)が宮城刑務所を出所した。懲役13年の満期出所だった。
 話は約19年前に遡る。
 1999年4月、安倍晋三首相(当時は2回生議員)の地元、山口県下関市の市長選挙がおこなわれ、安倍氏が推す江島潔氏(現・自民党参議院議員。山口選挙区)が再選を果たした。
 実はこの選挙には、古賀敬章元代議士(新進党。当時)も出馬し、江島氏の再選が危ぶまれていた。
 というのも、古賀氏は中選挙区時代の1993年に旧山口1区(定数4)から出馬し、同じく旧山口1区から立候補した安倍氏とともに初当選を果たしていた。小選挙区比例代表並立制が導入された96年の衆院選では山口4区から出馬、安倍氏に一騎打ちの戦いを挑み、結果、落選したものの、安倍氏約9万3000票に対し、古賀氏約6万票と善戦していたからだ。
「単に安倍氏の“国家老”としての下関市長の利権を奪われないためだけではなく、国政選挙でも安倍氏のライバルになりうる古賀氏を安倍陣営は極度に警戒していた。もし古賀氏が下関市長に当選して1〜2期務め、県内最大都市の利権を奪取したうえで再度、衆院選に出馬するようなことがあれば、安倍氏自身の当選も危うくなるという危機感があった。そのため地元の安倍事務所は、古賀氏の当選を何としてでも阻もうと、選挙妨害、“古賀潰し”を小山氏に依頼したのです」(地元事情通)
(中略)
 安倍事務所の依頼を受け、小山氏は古賀氏の女性スキャンダルを書いた『アサヒ芸能』記事(95年10月5日号)のコピーや、「古賀氏は朝鮮人で、当選したら下関市は金王朝になる!」などと虚偽の内容を書いたビラを、選挙前から市内全域に大量に配布した。
 この選挙妨害の効果が実際にどれだけあったかは不明だが、結果として古賀氏は落選し、江島氏が再選を果たした(古賀氏は山口県警に選挙妨害で被疑者不詳のまま告訴した)。
 一方、安倍氏の下関市の自宅や後援会事務所に火炎ビンが投げ込まれ、自宅車庫の乗用車が3台全半焼する事件が起きたのは翌00年6月。そして03年11月、その犯人として前出・小山氏と、特定危険指定暴力団「工藤会」(本部・福岡県北九州市)系の高野基組長ら組員5人が非現住建造物等放火未遂容疑で逮捕された(小山氏は懲役13年、高山組長は別件も加わり懲役20年で現在も服役中)。
 小山氏が選挙妨害をした見返りを安倍陣営に要求し、それを安倍事務所側が拒否したことから犯行に及んだもので、公判当時もそのように報道されてはいた。しかし、この犯行動機はあくまで検察側が主張しているもので、しかも逆恨みということもあって、安倍事務所側が選挙妨害を実際に小山氏に依頼したかどうかについては曖昧なままだった。
(中略)
 筆者は、この安倍氏自宅放火未遂事件の裏にはとんでもない闇があるのではないかと見て、小山氏らが逮捕される前から現地を取材、その後、現在に至るまで何度も下関入りして取材を重ねてきた。小山氏が仮釈放になったようだとの未確認情報を聞きこんだ約3年前にも現地を取材している。そしてこの間、服役中の小山氏に取材申し込みの手紙を出すなど接触を図ったが返事はなかった。しかし今年5月になって小山氏から連絡があり、ようやく本人への直接取材に成功。これまでに2度、計6時間以上にわたってインタビューしている(ビデオ映像あり)。
 そしてついに、安倍事務所、そして安倍首相も、前述の選挙妨害に関与していたことを示す物証を入手したのだ。
 なかでも一番の物証は、安倍事務所側が小山氏に出した3つの文書。いずれも、当時の地元筆頭秘書で、父・安倍晋太郎代議士時代から仕えていた竹田力氏(元山口県警警視)の署名・捺印がある。
(後略)

 

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