記事(一部抜粋):2018年7月号掲載

経 済

ロシア→日本→朝鮮半島→中国 天然ガスパイプラインに現実味

【証券マン「オフレコ」座談会】

(前略)
A ともかく、これで朝鮮半島の38度線という壁がなくなるわけだから、僕が前号で言った、ロシアから日本を通って朝鮮半島を縦断し一帯一路へと結ぶ天然ガスパイプラインというビッグプロジェクトは、実現の可能性が高くなったんじゃないかな。
B AさんとCさんは以前からそのプロジェクトを推奨しているけど、現在のコストと比べるとどのくらい安くなるの?
C 日本は現在、ロシアのLNG生産設備「サハリン2」が生産するLNGの約80%を一旦マイナス162度以下に冷却・液化したうえで海上輸送し、再び気化させて消費者に配送している。パイプラインの敷設費用を除くとLNGの価格は単純計算でMMBtuあたり5ドルだったものが2ドルになる。
A 敷設費用を抑えるために海底パイプラインは必要部分だけにして、ほとんどは鉄道網に敷設して縦断させればいい。日韓トンネル構想も以前からあるのだから、そのトンネルに鉄道やガスパイプラインを通せばロシア、日本、韓国、北朝鮮、中国とみんなウイン・ウインの関係になれる。リニア新幹線よりよっぽど日本のためになるプロジェクトだ。
B なぜ自民党はそのような運動をしないんだろう?
C 北朝鮮という独裁国家が消滅しそうな一方で、日本が独裁国家になってきたからだろう。国民が反対する法案をことごとく強行採決し、インナーサークルだけの利益を確保しようとする。安倍政権が北方領土の返還を「とりあえず2島でも」と動き始めた途端、共産党から「2島ではなく4島まとめての返還を」などと苦言を呈されるなど、どっちが保守かわからなくなってきた。皮肉じゃないけど「安倍コベ」だ。
A 国益に身体を張る政治家がいなくなった。日米会談後、「安倍総理から数十億ドルの米国製品の購入と米国に新たな自動車工場の建設の申し入れがあった」と米国民に成果をアピールしたトランプから、「拉致問題は安倍総理個人にとって重要な問題であることを理解している」と同情されるありさまだ。
B 支持率が急落している安倍総理は窮余の策として、米国への経済支援とトヨタ自動車などが新たに米国工場をつくることを手土産に、支持率回復のための拉致家族の返還をトランプ大統領に頼みに行った。それを記者会見でばらされてしまったわけだ。
C ともかく、経済界は北朝鮮復興ビジネスで動かざるをえなくなるから、株式市場でも関連株がにぎわうことになるだろう。
B 北朝鮮のインフラ整備関連だと日本のゼネコンが絡んでくる。日韓トンネルでは熊谷組が絡むし、たしかダムなんかには前田建設工業が絡むはずじゃなかったかな。
A トランプは北朝鮮の非核化の費用を日本と韓国に出させると公言し、それを安倍も了承したと言われている。だから、復興が本格化するのは間違いない。その際のメリットは日本統治時代の北朝鮮の多くのインフラ・プロジェクトが日本のゼネコンによって建設されたこと。10年くらい前には「日朝国交正常化」後の〝戦後賠償〟やODAを当て込んだゼネコンの訪朝団が計画されたけど、民族派団体の抗議により大幅に縮小された経緯がある。
B でも今回は米国主導だから横やりが入らない可能性が高い。
(後略)

 

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