記事(一部抜粋):2018年3月号掲載

経 済

RVHとRIZAP急成長の危うさ

【情報源】

 いま、積極的なM&A戦略で注目を集めているのが、東証2部上場のRVH、そしてプライベートフィットネスジム「RIZAP」で知られる札証アンビシャス上場のRIZAPグループ。いずれも驚異的な成長を遂げているが、一方で買収企業の多くは赤字、もしくは債務超過であり、急成長の歪みやコンプライアンスリスクなどある種の危うさがつきまとう。両社に対する金融機関の見方はシビアで、「金融・捜査当局の注目銘柄」(大手紙デスク)でもある。果たして、このまま拡大路線を突っ走っていけるのだろうか。
 RVHが世間の注目を浴びるきっかけは、2015年11月に経営危機に陥ったジンコーポレーションが運営する大手美容脱毛サロン「ミュゼプラチナム」のスポンサーに名乗りを上げたことだった。その後、「たかの友梨ビューティークリニック」の不二ビューティー、破産したグロワール・ブリエ東京から脱毛サロン「エターナルラビリンス」を相次いで買収。昨年末にはレディスフォーマルウェア大手のラブリークィーンの完全子会社化を発表、アパレル事業にも参入している。17年3月期の連結売上高は約180億円から約400億円へ急増している。
 反面、15年に関連会社が法人税法違反で摘発され、昨年3月には同社役員らによる株価操縦疑惑が浮上するなどコンプラリスクを露呈、強引な買収手法も指摘され、資金源もいまひとつ不明瞭だ。実は同社は14年に時価総額不足によって上場廃止の危機に晒されたが、猶予期間中にこれといった買い材料が見当たらないにもかかわらず株価が急騰、危機を脱した過去もある。そして捜査当局や一部マスコミが関心を寄せているのが、RVHの役員A氏の存在だ
(中略)
 瀬戸健代表率いるRIZAPグループは、03年の設立時は健康コーポレーションの社名で健康食品販売を手がけていたが、数年前からのフィットネスジム「RIZAP」の印象的なTVCMで一躍、全国区に。時を同じくして美容・健康関連を柱にアパレル、住ライフスタイル事業を買収攻勢の加速によって拡大。17年3月期の連結売上高は前期から倍増の約952億円、今期はなんと1500億円規模に達する見込みだという。
 とにかく、ここ最近のRIZAPグループのM&Aぶりは凄まじいものがある。14年のSDエンターテイメント(JASDAQ上場)の買収を皮切りに、アパレル小売のアンティローザ、アパレルネット販売の夢展望(マザーズ上場)、16年には週刊「漫画ゴラク」の日本文芸社、インテリア雑貨のパスポート(JASDAQ上場)と立て続けに買収。17年に入ると全国で約90店舗を展開するジーンズメイト(東証1部)、フリーペーパー発行では国内トップのぱど、老舗繊維商社の堀田丸正(東証2部)と続き、ヤマノホールディングスからはスポーツ事業を譲り受けている。昨年12月には上場スポーツ小売チェーンのヒマラヤから首都圏で28店舗展開するビーアンドディーを買収、スポーツ用品小売にも進出している。医療分野や海外への本格進出によって20年には連結売上高3000億円と鼻息は荒い。
(後略)

 

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