わが国の産業界は急速なグローバル化やデジタル革命よって従来の業界構造を覆す大変革期に直面している。一方で神戸製鋼所や日産自動車、東レなど日本企業が抱える構造的な病巣を露呈した不祥事も相次いでいる。そこで、今年の注目のトップ人事の行方は──。
品質データ改竄問題の神戸製鋼所は川崎博也会長兼社長に代わって経営企画担当の水口誠専務が有力視されるが、信用の回復と経営再建への道のりは険しい。無資格検査のSUBARUでは一昨年に噂されたトップ交代説が再浮上、就任から7年になる吉永泰之社長の後任は技術畑の日月丈志取締役が有力。一方、東レの日覚昭広社長は中期経営計画の最終年度である2020年3月まで続投する公算が大きく、三菱マテリアルも本来ならトップ交代は不可避だが、後任人事は難航しているという。
V字回復を果たした就任6年のパナソニックの津賀一宏社長は前任の2名が在任6年だったことから交代の可能性があり、候補として本間哲朗専務執行役員、樋口泰行代表取締役専務執行役員が取り沙汰されている。4年任期が慣例になっている三菱電機の次期社長レースでは本命・大橋豊副社長、対抗馬・杉山丈史副社長の名前が挙がる。
商社業界では、カリスマ的な岡藤正広社長の後継選びに苦慮していた伊藤忠商事がつい先日、鈴木善久専務執行役員を社長COO(最高執行責任者)に抜擢、岡藤社長は会長CEO(最高経営責任者)に就くことになったが、丸紅の国分文也社長は就任5年を迎えるものの中期経営計画が残っており、続投の可能性が大きい。
金融セクターでは、就任から6年が経つ永井浩二野村ホールディングスCEOの後継として、昨年4月に野村証券社長に就任した森田敏夫氏の昇格が噂されている。
(後略)