記事(一部抜粋):2017年10月号掲載

経 済

日銀とGPIFが大株主なのに上がらない日本株

【証券マン「オフレコ」座談会】

B 日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の“2頭のクジラ”が、大規模な金融緩和策と年金基金のポジティブ運用の結果、大企業の大株主になるという異常事態が起きている。
C 数カ月前に若い警察官と株式運用の話になったんだけど、警察専属のフィナンシャルプランナーの講習会で、「株式運用を推奨された」と言っていた。実際、仕事中に売買しているらしいよ。これは安倍政権効果というか「功罪」なんだろうな。
A 年々犯罪の検挙率が落ちているというのに、仕事中に株式投資に現を抜かしている場合じゃないだろうに。というか、日銀のETF(上場投資信託)の大量買いは緊急事態に限るべきで、長く続けるものではない。
B 本来、株式相場は企業業績やその将来性を期待して投資すべきもの。ところが、それを無視して買い支えたせいで、日銀が上場企業14社で実質的に10%を超える大株主になってしまった。ここ数十年の間に企業は持ち合い株の解消に努めてきたというのに、挙句の果てに中央銀行が大株主になるなんて、まるで共産国家だ。
C すでに日銀はヤマハの筆頭株主だし、アドバンテストやファーストリティリング、セコム、エーザイ、電通でもほぼ筆頭株主になっている。
A 一方で、三菱UFJFGや三井住友FGなど銀行の筆頭株主はGPIFだ。2頭のクジラは直接投資しているわけではなく、運用会社を通じて株式を保有する。とはいえ、日銀が銀行の実質的な筆頭株主になれば、日銀考査を通じて監督者として関わるだけに利益相反になってしまう。だから、銀行株については買いのウエイトを抑制しているのかもしれない。
B 日銀はETFを年間4500億円買い付けたのを皮切りに、その後、年間の買い付け額を1兆円、3兆円、そして昨年は6兆円と倍増させてきた。しかし、その割に日経平均株価は上昇してない。どうしてなんだろう?
C それは日銀がETFの年間買い付けを6兆円に決めた年の外国人の売り越し額が同じ6兆円だったからだと思う。
A そのほとんどは原油価格の下落で財政難に陥ったサウジアラビアの処分売りだったはず。
B サウジの処分売りが6兆円あったから、ETFの買い付けを6兆円にしたのか、それとも日銀のETFの買い付け6兆円にサウジが売りをぶつけて6兆円になったのか、どっちなんだろう?
A 案外前者だったりしてね。とにかく、いつまでも買い続けられるものではないということ。大規模金融緩和と同様、ETFは緊急時にやるべき政策で、いずれは金融政策の正常化をはからなければならない。
C 要するに、買ったものを売る時期が来るわけだ。試算では2022年3月末に日銀のETFの保有額は36兆円くらいとなり、それから15年かけて市場で売却しなければならなくなる。
B 単純計算で年間2兆4000億円の日銀売りが15年も続くということか。その時にもしインフレになっていなかったら、と考えるとゾッとする。ところで、日銀は東芝の大株主でもあるはずだけど、どうなるんだろう?
C どうもこうも、東芝が破綻すると大株主の日銀やGPIFが大損することになるから、モラルハザードではあるけれど救済せざるを得ない。だから官民一体となって原発の廃炉事業に東芝を必ず参入させるということが起り得ると思う。
A 要するに東芝は名実ともに国有企業ということだ。電子部門などあらゆる事業が売却されたとしても、廃炉事業だけで年間約3000億円あり、それが30年以上続く。それを東芝、日立、三菱重工の3社で分け合ったとしても1000億円の売り上げが確保されるわけだから後は推して知るべしだ。
B ところで、GPIFは軍事部門の売上高が世界で10位以内に入るすべての企業の株式を保有していることが明らかになったね。時価総額で一番多いのがボーイングの857億円で、2番目がユナイテッド・テクノロジーズの822億円だ。
C 年金資金を軍事産業に提供するようなものだから、本来は投資銘柄から排除すべきものだ。
A そもそもトランプ政権は「アメリカ・ファースト」と称して、「自国に影響を及ぼさない限り、他国に軍事介入しない」と宣言して誕生した政権だ。軍産複合体のネオコンがコントロールしてきた過去の政権が湯水のごとく軍事費を支出したため、アメリカは巨額の財政難を抱えてにっちもさっちも行かなくなってしまった。だから、トランプは「日韓はアメリカの核の傘から自立しろ」と言い出した。
B たしかにトランプは大統領選の時から「アメリカの核の傘から自立するなら、日韓の核保有を認めてもいい」と言っていた。でも本音なのかな?
(後略)

 

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