記事(一部抜粋):2017年9月号掲載

社会・文化

年利数百%のリターンを謳う「ビットフォリオ詐欺」の甘い罠

【狙われるシルバー世代】山岡俊介

(前略)
 埼玉県在住の専業主婦A子さんは今年3月末、「U-Mind Space」というビットフォリオに約20万円を投資した。しかし、同社は7月下旬に実質破綻。A子さんは投資額のすべてを失った。A子さんはこう語る。
「ビットコインには去年から関心を持ち、購入したビットコインの運用方法を紹介しているブログやツイッターをチェックして情報を収集していました。少ない貯蓄の一部をビットコインでの投資に回すことで、少しでも将来の子どもの教育費などの足しになればと思ったからです。それで、まずは1万円からでも投資できるという案件に数回投資したんです。するとすぐ倍の2万円になりました。その少額投資を紹介していたメンバーが、新たに紹介していたのが『U-Mind』だったので、すっかり信じてしまったのです」
 つまり、「彼ら」は、“撒き餌”としてまず少額投資で儲けさせ、次に高額な投資をさせてそれを詐取した疑いがあるのだ。
 そして、その「彼ら」が、前述した「クローズアップ現代+」の冒頭で登場した、休日に100グラム3000円の高級和牛のバーベキューを楽しむ若者たちの一団と重なっているのだ。
 番組ではその一団のなかの二人のメンバーが、「(残高は)3400万円ですね。びっくり、自分でもびっくり」(20代男性)、「最初買った時よりも、20倍程度に資産が膨らんでいます」(30代男性)と顔出しで語っていたが、この顔出ししていた20代のM氏、30代のY氏らは今年3月23日、一斉にSNSで「U-Mind」の投資案内を流していた。
 それは米国のショッピングモールに投資するというもので、プレオープン(一般公募前)の今なら、一口2000ドル(約20万円)投資すると、同モールの売り上げの1%が無条件で分配されるうえ、上場時に500株を譲渡されて株主にもなれる。そして、いずれは最大日給300万円、月収9000万円、年収10億8000万円も可能と謳っていた。
(中略)
 前回取り上げた「D9」「SENER」の投資案件と同様、この「U-Mind」も、ネット上でビットコインで投資するというもので、HPには住所の記載すらなく、唯一記載されていたのはメールアドレスのみだった。しかし、そのメールも返信さえ来なくなり、彼らのSNSの誇大広告の記載も削除された。
「米カリフォルニアに本社があることになっていたのですが、そこがバーチャルオフィスであることが後に判明しました」(A子さん)
 A子さんらは被害者仲間を集め、国民生活センター、金融庁、警察などに訴えたが、埒はあかず。さりとて提訴しようにも、弁護士費用などを考えると、簡単には踏み切れない。彼らは被害者が損害を諦める金額はどのくらいかを考慮して、投資額を20万円に設定したのではないかとも見られている。
「なかには8口(約160万円)投資した人もいます。一方、彼らが約3カ月で集めた資金は総額12億円以上と見られます。私たちとしてはそのやり口から組織的な詐欺と見ています。なぜ、こんなデタラメが罰せされないんでしょうか?」(同)
 あり得ない儲け話に安易に乗ってしまったのは自己責任だと思う反面、その余りのやり口にどうにも納得できないというのだ。
 こうしたビットコイン決済を売りにした詐欺疑惑案件は、ほかにもたくさんある。しかも、ビットコインを素材したこの手の案件の被害者は、以前はITに精通する若者が多かったが、この間のビットコイン投資熱の高まりもあって今では高齢者も少なくない。
 ちなみにA子さんによれば、前出の詐欺疑惑メンバーの一人であるW氏はD9、SENERの宣伝もしていたという。
 それでは、ビットコイン決済を売りにして詐欺を働いていると疑われる業者をいくつかあげておこう。
(後略)

 

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