記事(一部抜粋):2017年9月号掲載

政 治

GDPが4%のプラスに それでも必要な財政出動

ここで手を緩めたら元の木網

 内閣府が8月14日に発表した2017年4~6月期のGDPは、年率換算でプラス4.0%増と6四半期連続で増加した。名目GDPの成長率も年率4.6%増と2四半期ぶりのプラスである。これについて『日本経済新聞』は、民間消費、民間設備投資が好調だったからだと解説していた。たしかに間違っていないが、肝心の項目を説明していないのはいただけない。
 需要項目別に見ると、民間消費3.7%、民間住宅6.0%、民間設備投資9.9%等で民間需要が5.3%のプラスとなった一方で、政府消費1.3%、公共事業21.9%で公的需要が5.1%のプラスとなっている。民間と公的を合わせた国内需要はプラス5.2%だ。輸出▲1.9%、輸入5.6%だったので、外需のマイナスを内需でカバーした形である。
 公共事業の伸びが大きかったのは16年度第2次補正予算に盛り込んだ経済対策が寄与したからだ。今回のGDP速報は、適切な補正予算によって個人消費が牽引され内需主導の望ましい経済成長が可能であることを示している。
 総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比▲0.4%だった。1〜3月期は▲0.8%だったので、改善の方向ではあるが、依然としてデフレから完全に脱却していないことは明らかだ。
 茂木敏充経済再生担当相は、記者会見で「率直にいい数字だと思っている」と話し、「内需主導の経済成長が続くよう万全の対応をしていきたい」と強調した。ただし、「現段階で具体的に新たな経済対策は想定していない」と述べている。
 はたして茂木経済再生担当相の認識は正しいのか。
 今回のGDP速報結果を分析すれば、公共事業に支えられて民間需要が誘発されたことがわかる。しかし、ここで「民間需要にはすでに火がついた」と勘違いし、経済対策の手を緩めてしまえば、元の木阿弥になるだろう。
 実際、安倍政権では13年度は公共事業が活発で経済も好調に推移していたが、14年度以降は公共事業が低調で、消費増税の影響も相まって緊縮財政傾向になり、GDP成長率はいま一歩の結果に終わっている。
 現時点では財政問題を気にする必要はなく、むしろ国債市場では国債の“玉不足”が指摘されている状況だ。この低金利時代にあっては、将来投資を積極的におこない、同時にインフレ目標2%、構造失業率(これ以上下がらない限界の失業率)2%半の達成を目指すのが正しい経済政策である。そうすれば、民間需要に本当の火がつくだろうし、過去20年間以上苦しんだデフレ経済からもついには脱出できるだろう。
 財政再建は大きな問題でない。
「借金1000兆円」という言葉は、いまでは多くの人が知るところとなっている。しかし、財務の専門家であれば、借金問題を議論するときにはバランスシート上の左の資産、右の負債の両方を見て議論するのが常識だ。さらに、その場合のバランスシートは、関係子会社を含めた連結ベースでなければならない。
 そこで、政府の子会社を含めたバランスシートを見てみると、負債は1350兆円もあるが、現時点では資産も1350兆円ほどあり、財務状況としては必ずしも悪いとは言えない。これは、財務省の「日本の財政は危機的」という説明とはまったく異なる。
(後略)

 

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