記事(一部抜粋):2017年8月号掲載

社会・文化

NEXCO東日本が地積を消した?

誤ってトンネルを掘った可能性が……

 前文部科学事務次官の“決死の告白”によって内閣府と文科省が揺れに揺れているが、国土交通省にも、あっと驚く“秘匿事項”が眠っていた。ある意味、森友学園や加計学園などより深刻で大きな問題かもしれない。
 福島県いわき市と新潟市を東西につなぐ磐越自動車道。そのほぼ真ん中あたりに、福島と新潟の県境をまたいで全長3.6㎞のトンネルが、「竜ヶ岳」という山を貫くかたちで通っている。その名も「龍ヶ嶽トンネル」。
 ちなみに磐越自動車道は、1990年に供用開始、1997年に全線が開通している。龍ヶ嶽トンネルは全線開通時に完成したものである。
 問題はこのトンネルの出入り口(坑口)にある。
 トンネルは、2カ所の坑口の部分にのみに所有権が発生する。つまり一本のトンネルを掘削する場合、道路敷設者は、2カ所の坑口部分の土地を買収すればいいわけだ。龍ヶ嶽トンネルの場合でいうと、福島県側に開けられた東坑口と新潟県側の西坑口の2カ所である。
 そして現在、問題となっているのは福島側の東坑口(左頁の写真)である。
 東坑口の土地の所有者はいうまでもなくNEXCO東日本(旧日本道路公団)で、当該登記簿謄本によると、その場所は「福島県耶麻郡西会津町野沢字雨沼丙143番2」(以下・雨沼)ということになっている。1992年に当時の道路公団が買収したものだ。
 ところがである。
 その東坑口の真正な地籍は「福島県耶麻郡西会津町野沢字龍ヶ嶽丙1434番(の一部)」(以下・龍ヶ嶽)だというのである。
 一体どういうわけか?
 左ページの写真でみると分かるように、東坑口は小高い山の土手っ腹に開いている。その右側にも小さなトンネルがあるが、それは避難坑である。
 地元の人間に言わせると、東坑口がある場所は「龍ヶ嶽」だという。
 では、NEXCO東日本が所有する「雨沼」はどこにあるかといえば、坑口の右側の低地になっている部分だという(右側の写真)。なるほど、山の部分の地名に「嶽」、低地の部分の地名に「沼」という字が当てられているのは自然に思える。
 しかし、もしそうであるなら、旧道路公団は他人の所有地に穴を開けてしまったことになる。 
 東坑口のある、地元で龍ヶ嶽と呼ばれているところは、ご覧のとおりの山林で、古くから近隣の住民47人が共同で所有している。
 問題を複雑にしているのは、47人が「雨沼」の旧共同所有者とほぼ重複しているということだ。有り体にいうと、共同所有者たちにとっては、東坑口が龍ヶ嶽にあろうと雨沼にあろうと、さして重要な問題ではないともいえる。
 しかし一方で、これが死活問題につながる人もいる。たとえば龍ヶ嶽の共同所有者から採石権を取得した業者だ。
 実は龍ヶ嶽には優良なゼオライトの鉱脈があることが確認されている。ゼオライトはイオン交換材や吸着材に使われる、いうなれば、天然の強力な活性炭とでも言うべききわめて有用な鉱物だ。放射能も吸着するとあって、その価値は福島原発事故以降さらに上がっているという。
(後略)

 

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