記事(一部抜粋):2017年8月号掲載

政 治

ポスト安倍「乱世」なら麻生が名乗り

どんぐりの背比べを横目に見ながら……

「政界一寸先は闇」の言葉を残したのは、岸派の大番頭だった故・川島正二郎代議士である。岸内閣で自民党幹事長を務めた後、池田隼人内閣、佐藤栄作内閣を通じて長く副総裁の座に君臨した自民党ナンバー2の男だが、果たして、自分が仕えた岸信介元総理の孫、「安倍晋三」を泉下より見上げ、再びその名言を呟いただろうか。
 わずか5カ月前の3月5日、 自民党は都内のホテルで第84回党大会を開き、総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長すると決定した。森友学園の籠池泰典理事長(当時)が「安倍昭恵夫人から100万円の寄付をもらった」と爆弾発言する10日ほど前のことだ。内閣の支持率は高止まりし、安倍総理は「国政選挙に4連勝しても緊張感を片時も忘れずに挑戦し続けることを誓う」と胸を張った。何の疑いもなくバラ色の未来を信じられたからだ。
 実際に永田町ではこの時点で、来年9月の総裁選への出馬が可能となった安倍総理が、2021年9月まで政権を維持し続けるという甘い見通しが過半を占めていた。
 しかし夏の盛りを迎えたいま、同じ見通しを持つ永田町住民の数は半減している。弁明にもならない言い訳を壊れたレコードのように繰り返す稲田朋美防衛相のこわばった顔、自信たっぷりに否定した後、二転三転する山本幸三地方創生担当相の説明……。
 いよいよ内閣支持率が3割を割り込み、この後も10月の臨時国会まで漸減傾向が続くことはほぼ確実と見られているのだ。
(中略)
 新聞が報じている主な候補者について、政治部デスクが続ける。
「総裁選に立候補することを心に決めているのは、石破茂元防衛相、野田聖子元総務会長、岸田文雄外相の三人でしょう。ところが、それぞれ高いハードルが目の前に立ちはだかっている。例えば、石破さんは小池百合子都知事と親しいという強みがある反面、自派閥水月会の若狭勝議員が都民ファーストに行ってしまったため、自分を除いたメンバーが18人しか残っていない。立候補条件である推薦人20人を集めるためには、他所から人を借りる必要があるわけです。彼は安倍さんのことをチクリチクリ批判していますが、党内でのご自身の人気は相変わらず低迷中。25年前に自民党を離党し、その後、新進党に合流した恨みをいまだに忘れないベテランが陰口をたたくからです。闇金業者との交際も報じられ、クリーンなイメージにも疑問符がつきました」
 野田聖子代議士の場合は、さらに厳しい。
「自分の派閥がないため、20人の推薦人を集めるだけでもかなり苦労するはず。実際、安倍さん以外の立候補者が出なかった15年の総裁選では、古賀誠さんをバックに目一杯、動いたものの、推薦人不足で出馬できなかった。もう一つの問題は彼女の配偶者。複数の前科が報じられた過去がある。本人はやる気満々で、総裁選出馬の準備を始めていますが、現実的に彼女の芽があるかといえば、石破さんの半分の可能性もないでしょう」(同)
 となると、目下の最有力は、外交を4年にわたりそつなくこなしてきた岸田文雄外相ということになる。
「スマートで性格も穏当。これまでスキャンダルで叩かれたことがないのは強みだし、何より40名以上を擁する宏池会のトップだから、推薦人を心配する必要がない。ただ閣僚経験は十分とはいえ、米国にしろロシアにしろ外交をやってきたのは安倍総理本人でしたから、その陰に隠れ、実績として世の中に伝わっていないのが難点。さらに言えば、安倍総理とは同期の当選で付き合いも古いので、どうしてももう1期やらせてくれと頼まれたら、それを振り切って対決する政治家としての強さがあるかどうか怪しいのです」(同)
 とはいえ来年9月、予定通りに総裁選があったとすれば、決選投票に残るのは安倍、岸田の両名だと見られているのも確かだ。
「ただ、乱世になればダークホースがいますよ」と引き取るのはある政治評論家である。
「山東派と合併し60名の大派閥の領袖になった麻生太郎副総理がキングメーカーを目指していることは明白です。岸田さんの宏池会と組めば巨大な細田派と肩を並べられる勢力ですから、東西の横綱同士が総裁選を争うのは自然の流れ。ただし、それは平時の話。もし安倍さんの体調が崩れ、途中で辞職するような乱世が訪れると、麻生さん本人が総理候補として名乗りを上げるつもりなのです」
(後略)

 

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