記事(一部抜粋):2017年4月号掲載

経 済

東芝・日立・重工が原発事業を統合?

【情報源】

 名門・東芝の解体と信用失墜に歯止めがかからない。すでに破綻リスクが実しやかに囁かれているが、会社更生法などの法的整理はやはり現実的ではないだろう。東芝クラスの破綻が招く中小の取引先、地域金融機関への影響やその波及による2次ロス、3次ロスを含めたダメージは計り知れない。
 そもそも東芝危機の本質は過剰債務ではなく、ビジネスモデルやカバナンスの問題だけに法的整理によって解決するものではない。株式市場に敏感な首相官邸の思惑もある。結局は、約5700億円の融資を抱えるメーンバンクの三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行が「劣後ローンやDES(債務の株式化)などによって支えるしかない」(メーンバンク幹部)ようで、倒産処理だけは免れることになりそうだ。
(中略)
 こうした切り売りで上場廃止回避のメドが立ったとしても、東芝にはいくつもの地雷原が待ち構えている。米LNG(液化天然ガス)に絡む1兆円損失リスク、11年に買収したスイスの電力計大手ランディス・ギアの1400億円規模ののれん代の減損処理などいずれも致命傷になりかねない時限爆弾である。原発事業はすでに米原発事業からの撤退と米子会社ウェスチングハウス(WH)との縁切りを表明しているが、8000億円の債務保証や追加損失など巨額の代償を払わなければならない。
 そして、最後は東芝がこれから何で食っていくのかという根本的な問題に辿り着く。ここ数年、東芝は事業の売却・撤退を繰り返してきただけに、半導体メモリー事業とWHを除くと売上規模は4兆2000億円とピークから半減する。今後はエレベーターや空調、鉄道などの社会インフラ事業で成長戦略を進めるというが、いずれも売上規模はあっても競争力に欠け、とても柱にはなり得ず、新生・東芝の将来像は見えてこない。原発事業は国内の廃炉や再稼動に専念することになるが、こちらも先行きは不透明、やはり自力再建は難しいと見るべきである。半導体新会社への官民ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行の支援が取り沙汰されているが、放漫経営の東芝への公的資金による救済には反発が大きい。
 ところで東芝同様、原発を手がける日立製作所、三菱重工業も福島第一原発事故後、事業環境は悪化の一途を辿っている。実は東芝、日立、三菱重工の3社は、昨年から水面下で核燃料事業の統合交渉を続けてきたが、東芝の混乱や製造拠点の統廃合を巡る調整が難航し頓挫している。ただ、原発はもはや一民間企業の手に負える事業ではなく、国策事業でもあり、今後40年以上を要する廃炉処理のためにも事業は存続させなければならない。そこで、今回の東芝問題を契機に「産業革新機構など国の支援の下、東芝の原発を切り離して公社化、日立と三菱重工の原発を統合させるスキームが浮上している」(経済産業省関係者)という。
(後略)

 

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