記事(一部抜粋):2017年2月号掲載

経 済

HIS澤田社長の「ロボット事業」

アイデアマンといえば聞こえはいいが……

(前略)
 澤田社長が設立した「hapi-robost」。これから家庭やオフィスでのサービスを提供するロボットの新規開発をおこなうのだそうだが、旅行業界の反応は意外に冷ややかである。
(中略)
「でもね、澤田さんはアイデアマンと言えば聞こえはいいのですが、悪く言えば、儲かりそうなことを思いついては、手を出す、あまりポリシーのない経営者だと思います」と辛辣なのは経済誌の編集者。
 確かに、旅行業から入って航空会社、証券、モンゴルの銀行……。並べてみるとそこから一貫性を感じるのは難しい。
「一つの良い例がハウステンボスです」と編集者が付け加える。長崎県佐世保市長から三顧の礼で請われ、引き受けたテーマパークの運営のことだ。
「澤田さんは、18年間も赤字続きだったハウステンボスをわずか1年で再建させた実績を事あるごとに引き合いに出してきました。一流の経営者の証というわけです。でもね、タネ明かしをしてしまえば、成功の要因はつまり、借金棒引きだったから。62億円もの借金を10億円にまで棒引きさせて、九州財界からの出資で返済し、無借金の状態からスタートしたのです。しかも佐世保市からは毎年7億円以上の再生支援交付金を受け取っています。さらに、3年でうまく行かなければ撤退OKの確約もあった。これだけの好条件での進出ですから、ハウステンボスの経営は失うもののない、負けのない勝負だったのです」
 倒産寸前のテーマパークを最上の条件で入手した後の、新規事業にも一貫性が見えないという。ホテル内にアンチエイジングや美容医療のクリニックを誘致し、「光の王国」の名のもとにLEDでライトアップし、100万本のバラを植えて日本一をアピール。AKB48を呼び、恐竜のロボットがレセプションにいるホテルをつくったり、野菜工場を建設したり……。誰がどう考えても抜本的な改革とはいえない小手先の変革だったが、折しもインバウンドで訪日外国人が飛躍的に増えた時期とも重なり、ハウステンボスは何とか黒字化したのである。
「ロボット産業は、変なホテルという名のロボットホテルから広がった発想でしょう。では、そのロボットホテルは何なのかというと、受付ロボットやクロークを預かるロボット、掃除ロボットがいるホテル。これが新しいかと言われれば、受付ロボットは病院の自動受付機と特に変わらないし、クロークや掃除ロボットは、既存の産業用ロボットなんです。澤田さんにとっては、物珍しさで客を呼び、真の狙いは人件費の圧縮。雇用を減らし、人件費を徹底的にカットする機械化を逆手に取って客にショーアップしたということなんでしょうが、革新的な新しい要素はない。皮肉なことに、ハウステンボスの雇用を創出しようと、澤田社長に礼を尽くした佐世保市は、数人の雇用しか産まないホテルを作るための実験場になってしまったのです」
(後略)

 

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