(前略)
B プーチンは2島だったら間違いなく返還するんだろうか?
C もちろん、ロシアへ経済協力することが条件になるけど、原油安で経済が窮地に立たされているロシアとしては2島返還の話にだけは乗れる。
A そもそもその話は1956年10月19日にまで遡る。鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相、それにフルシチョフ第一書記の間で「日ソ平和条約が発効した際は、歯舞、色丹両島を返還する」との日ソ共同宣言が発表された。これは日本の国会も、ソ連の最高会議も認めた法的拘束力のある国家間の約束。だから平和条約の締結にさえ持っていければ2島が返ってくるのは間違いない。
B 北方領土の日ソ共同管理の話も出てきたね? ということはビザ無し渡航が可能になるということ?
C 共同管理というか、共同統治になれば、ビザ無し渡航は可能になるから、観光客はかなり増える。
B 共同統治している国って、ほかにどこかある?
A 結構たくさんあるよ。サモアとか、ニューヘブリディーズ諸島とか、ピネレー山脈のアンドラとか。ただ、最初は共同統治でも、先住民との軋轢や二国間の主権争いなどがあって、最終的には独立となることが多いみたいだ。
C 身近なところでは日本とソ連両国の所領だった樺太があるから、これが参考になると思う。
B 樺太統治に関してはどのような条約だったの?
C 詳細な資料は手元にないんだけど、「ソ連人や日本人が全島を自由に往来でき、公共や産業に属する場所以外には自由に建物を建ててよい」となっていたらしい。ただ、1867年に調印された樺太仮規則だから、結構大雑把。問題は但し書きみたいなのがついていて、「樺太はすべてソ連のもの」というのが前提条件になっていた。
A 樺太出身者を知っているけど、日本政府が行政機関をしっかり置かなかったから、不利な扱いを受けたりして、結局は日本に戻ってきたと言っていた。ブラジルへの移民政策もそうだけど、日本の政治家や官僚は自分たちが犯した失政に対して責任を取らないから、末端は翻弄されるだけ。だから条約締結時に日本国民に不利益にならないかどうかをしっかり精査すべきだね。
B それについては十分精査してもらうとして、領土返還でも共同統治でもいいけど肝心の関連銘柄は?
C まず観光、エネルギー、パイプライン、それに水産関連がテーマ。
A さっき話した56年の領土返還交渉での裏話がある。これは毎日新聞の記者だった大森実が『エンピツ一本』という本の中で書いてるんだけど、領土交渉当時の鳩山首相や河野農相には随行する水産関係の会社代表が数名いたらしい。当然ながら国交正常化となって領土が返還されれば北洋漁獲の新交渉の道が開かれる。その本には、水産会社の代表が農相に「2本持ってこい!」と言われて200万円を持っていったら、「一つケタが違ってるわ!」と叩き返されたという逸話が出てくる。
B わかりやすい話だね。今度の山口での日ソ首脳会談でも産業界の取り巻きが一杯いるんだろな、きっと。ところで、先のブレグジットでも為替で一儲けしたヘッジファンドのジョージ・ソロスの話、なにか聞いてる?
(後略)