(前略)
東京都には豊洲市場や五輪問題以外にも、天下り天国という根本的な問題があり、それが東京都の役人の体質問題にもつながっている。小池都知事は「東京大改革」を謳い、豊洲問題を契機とした役人人事を手始めとして、都庁内の改革にも取り出す気配だ。
NPO法人万年野党(田原総一朗会長)は、都知事選の前に、小池氏に「取り組み」に関する回答をもらい、ホームページ上で公開している。
まず次のような質問をした。
「東京都では、職員の再就職先として、都の出資するいわゆる外郭団体(監理団体、報告団体等)の比率が高いとの指摘があります(平成26年:退職幹部職員160人のうち監理団体30人・報告団体等19人、平成27年:退職幹部職員158人のうち監理団体24人・報告団体等13人。これに対し、国の場合は、平成27年の退職幹部職員1395人のうち独立行政法人19人・特殊法人7人など)。また、外郭団体への再就職(いわゆる天下り)が、随意契約などの不透明な財政支出と関連しているのでないかとの指摘も議会でなされています。外郭団体と天下りの問題について、どのように取り組むべきか」
これに対し、小池氏は「天下りと出資法人などを含め、利権構造を抜本的に見直します」と回答している。
万年野党は東京都の天下りについて継続的に調査しており、その実態も公表している。上の質問にもあるように、東京都の天下りは昔の国のようにやりたい放題状態だ。
では、具体的に天下りをなくす、また減らすには、どのような手法やプロセスが必要なのか。
天下りはけしからんというだけなら簡単だ。国でも同じで、天下りの弊害は歴代内閣で散々指摘されてきた。第一次安倍政権で国家公務員法の改正、次の福田政権で国家公務員改革基本法が成立し、ようやく公務員改革のレールが敷かれた。ところが、権交代で公務員組合から支持されている民主党が政権をとると、公務員改革の機運はあっけなくしぼんだ。再度の政権交代で安倍政権になってから、内閣人事庁の創設などによってようやく天下り問題への対処ができるようになった。
天下り問題への対処のキモだったのが、2008年12月に設置された再就職監視委員会だ。しかし民主党などの反対で、国会同意人事がおこなえず、発足後も委員長・委員不在で開店休業状態だった。民主党政権末期の12年3月にようやく委員長・委員の国会同意人事が得られた。自公政権に移行後の13年3月、元国交省次官の再就職に対して国交省が斡旋をおこなっていたことが国家公務員法違反と認定されるなど、再就職監視委員会はやっと本格的な活動に入った。
このような国の牛歩の公務員改革を、一気にやったのが大阪府・市である。
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