高野山真言宗の名刹「興正寺」(愛知)を舞台にした不透明な巨額の資金流出とその背後に控える事件屋、暴力団、芸能界人脈が関心を集めている。
興正寺が所有物件を中京大学に138億円で売却した取引で名古屋国税局が今年7月に申告漏れを指摘、調査の過程で発覚した特定の法人へのカネの流れが発端だった。当時の興正寺住職・梅村正昭氏はこの取引を独断で実行、しかも本山に上納金を納めなかったことから住職を罷免されているが、「特定の法人への不可解な資金流出とともに、罷免後に流出が加速していることから梅村氏が背任罪に問われる可能性がある」(司法関係者)という。
主な流出先は東京のコンサルタントN社(約42億円)、R社(約5億円)のほか、芸能プロダクションG社(約1億3000万円)、梅村氏が出資する英国法人L社(約14億円)。これらには脱税の前歴者、暴力団との親密ぶりや覚醒剤疑惑が噂される某歌手の元マネージャーなどが関与、「様々な事件に登場する輩やアングラ勢力とのつながりが取り沙汰されてきた元東証1部上場のエル・シー・エーホールディングス人脈でつながっている」(大手紙社会部デスク)。まさに、“興正寺マネー”に反社会的勢力が群がる構図が浮かび上がる。
ただ、宗教法人の背任事件はほとんど前例がないだけに、今後の捜査の展開が注目される。
ところで、あのショーン川上氏もかつて在籍していたエル・シー・エーホールディングスの親会社は、塩村文夏都議と交際していた豊田浩之氏が代表を務める豊田D&Cだが、同社もエル・シー・エー株に絡んでアングラ勢力に食い物にされている。昨年、豊田D&Cは山口組・弘道会系の企業舎弟の仲介によって経営危機に陥ったエル・シー・エーの第3者割当増資を引き受けたものの、12月に上場廃止に追い込まれ、株券は紙切れと化している。その後、増資の一部を引き受けた人物が仲介役の企業舎弟と豊田D&Cに返還請求の民事訴訟を提起、さらに警視庁へ詐欺罪での刑事告訴に踏み切り、こちらも事件化の様相を見せてきた。ちなみに、豊田D&Cは資金繰りが悪化、経営破綻寸前だという。
(後略)