記事(一部抜粋):2016年6月号掲載

経 済

燃費偽装は「三菱」の宿命?アジアで攻勢に出る日産

【証券マン「オフレコ」座談会】

B 三菱自動車がまた、とんでもないことをやらかしたね。
C 2000年と04年にリコール隠しが発覚し、02年に山口県と横浜市で起きた大型車の死亡事故では、欠陥を組織的に隠蔽し、国に虚偽の説明をしたことが判明、元社長が有罪判決を受けた。さすがに「仏の顔も三度まで」というからね。
B その大型車のタイヤ脱輪による死亡事故だけど、人気作家の池井戸潤が『空飛ぶタイヤ』という小説を書き、テレビドラマ化されたよね?
A そう。そのドラマ見たけど面白かった。自動車会社が有力スポンサーとなっている地上波ではなく、有料放送のWOWOWだからつくれたんだろうけど、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)の銀行員だった池井戸がよく書けたなと思って感心したよ。
B しかし何で燃費改竄のような馬鹿なことをするんだろう? どうせわかってしまうのに。
A これは三菱のトラウマというか、宿命なんだと思う。
B 宿命って?
A 軍需産業としての宿命。別に三菱をかばうわけじゃないけど、昔、三菱のクルマを買った時に、ディーラーの支店長に「なぜ四輪駆動でオートマチック車のミニバンを造らないの?」と聞いたら、驚くような答えが返ってきた。
C その話、前にも聞いたことがある。たしか車体の下に5ミリ程のタールが全車に塗ってあるとか何とか。
A そう、そのせいで車重が重くて燃費が悪いのに、「さらに重くなる四駆でオートマは造れない」と言っていた。
B 今時、砂利道なんかないんだから、タールを塗ることなんか止めればいいのに。
A そこなんだよ。もう20年も前の話だけど、ディーラーがみんなでタールを塗るのを止めるようにとの嘆願書を本部に提出したところ、かなり年配の専務のところで却下されたというんだ。「壊れない頑丈なクルマを造らなければならないんだ」ってね。
C どう考えたって、車体の下にタールを厚く塗るなんて時代錯誤だよ。
A この専務は三菱という会社の宿命を代弁したんだと思う。もしかすると、自分たちが造った装備の差によってアメリカとの戦争に負けたというトラウマがあるのかも。
B 燃費なんか考えちゃいないんだと?
A たぶんね。だから、現社長の父親の相川賢太郎(三菱重工相談役)が、「燃費改竄など大した問題ではない」と言い放ったんじゃないかな。燃費ではなく、頑丈なクルマ造りこそが三菱の社是なんだと。
C 三菱自動車はもともと三菱重工の軍事技術を転用した「ジープ」を製造する会社だから、三菱のOBなど重鎮の考えがそうなのかもしれないね。
B でも、日産に取られちゃったんじゃ意味ないじゃない。
C 実はそこなんだけど、いろんなメーカーと技術的付き合いがある知人は「日産は三菱の軽自動車のOEM生産にあまりメリットがないため、現在の関係を改めたがっていた」と言っていた。
B たしかに三菱の会見を聞くと、「日産が現行車の燃費を測定した際、届出数値と乖離があったため、合同での燃費調査を依頼され、その調査結果から燃費改竄が判明した」と、日産からの調査依頼が発覚のキッカケだったことを認めていたね。
A 15%も公表燃費と違っていたクルマもあったというから、OEM生産で三菱の軽自動車を自社ブランドで販売してきた日産が、気がつかなかったとはとても思えない。
C それに日産が三菱自動車に34%出資すると発表した当日に、国土交通省が三菱自動車に立ち入り検査に入るとは実にタイミングがいい。検査日に合わせて発表したとしか思えない。
A 34%の出資比率で、三菱自動車は日産傘下になるわけだけど、注目されるのは日産がルノーの傘下で、ルノーはイギリスを中心とするロスチャイルド財閥系であること。
B 三菱は、同じ戦争財閥であるロックフェラー財閥との関係が深いと言われているよね。
(後略)

 

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