記事(一部抜粋):2016年1月号掲載

経 済

投資ファンド化するGPIF

最大で資産全体の3分の2が株式運用に

「まさに最悪のタイミングでの配信になってしまった」
 厚生労働省の幹部がこう嘆くのは、運用資産135兆円を超える世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が11月30日に開いた2015年7~9月期の運用実績の公表会見だ。この日、GPIFは「一層開かれた組織」を印象づけるため、初めて記者会見の模様を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信した。
 しかし、肝心の期間収益率は▲5.59%。額にして7兆8899億円も資産が減少するという惨憺たる結果。米同時多発テロがあった01年7~9月期、リーマンショック直後の08年10~12月期に次ぐ収益率の悪化で、絶対額では過去最悪となった。
 当然、記者からは厳しい質問が相次いだ。その質疑応答もそのままユーチューブで発信されたからたまらない。会見に臨んだ三石博之審議役はお白洲に座らせられたようなものだった。
 記者から「過去何番目の損失か」と問われた三石氏は「収益率で言えば過去3番目に悪い」とかわしたものの、別の記者から「率ではなく額では過去何番目に悪いのか」と畳掛けられ、「過去最悪」と認めざるえないという罰の悪さ。
「7~9月期のマイナス運用は、上海株式の暴落や中国の人民元切り下げを契機にした世界的な市場の混乱が主因で、市場が落ち着きを取り戻した現状ではGPIFの運用も回復している」と切り返すのがやっとだった。
 それでも、安倍晋三首相の女房役である菅義偉官房長官は、このGPIFの実績について「年金運用は長期的な観点が重要で、短期には損失が生じることもあるが、年金財政に必要な積立金を下回るリスクは逆に少なくなっている」と擁護。有識者からも「年金資産は長期運用が基本。短期での収益率の悪化に一喜一憂すべきではない」との発言が相次いだ。
 7~9月期の運用はマイナスだったが、昨年10月以降の基本ポートフォリオの組み換え以降の運用は依然大きなプラスであることが強気の根拠だが、問題は過去3カ月間という超短期でそれまでの儲けの約6割が吹き飛んだことである。菅官房長官が言う「年金財政に必要な積立金を下回るリスク」は、むしろ拡大していると見たほうがいいだろう。
 今回のマイナス運用を資産別にみれば、そのリスクの所在がはっきりする。
(後略)

 

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