記事(一部抜粋):2015年6月号掲載

連 載

【新ニッポン論】田中康夫

「イデオロギー」

「これぞ統治機構の大改革」と喧伝されたONE OSAKA“府市合わせ”構想とは一体、如何なる代物だったのでしょう?
「財政効果は年155億円に上ると訴え(讀賣新聞)」、「都構想実現後の成長戦略として橋下氏が挙げたのは高速道路や鉄道の整備、大型カジノの誘致(朝日新聞)」。
「新たな庁舎建設やシステム改修費で600億円程度かかる(日本経済新聞)」新手のハコモノ行政と知ったナニワっ子は、若しや本末転倒な“不仕合わせ”構想ではと訝り、僅差ながらも否決。それが僕の見立てです。
 豈図らんや、2008年2月に橋下徹氏が知事に就任して以降の7年間で大阪府は、財政力指数も経常収支比率も悪化し続け、実質公債費比率が18%を超えた2011年度以降、地方債発行に総務大臣の許可を必要とする“禁治産者”状態に転落しています。
“ハシズム”に審判が下った「5.17住民投票」翌日に「産経新聞」は社説で、「地盤沈下を食い止めるには、改革議論をストップしてはならない」と慨歎しました。
 ニャル程。でも、「改革」って何ですか? この国の「かたち」という「制度」を弄ぶ前に“隗より始めよ”の心意気で、この国の「あり方」を変えるべきではないんですか? 「小選挙区・比例代表並立制」こそ政策本位の政治を実現する世紀の大改革と唱和された21年前からの、僕の疑問です。
 奇しくも大阪府が“禁治産者”となった2011年施行のW選挙で、ナニワのウラジミール・プーチンこと橋下氏は首相改め市長に、その舎弟たるドミトリー・メドベージェフこと松井一郎氏が大統領改め府知事に就任します。
 即ち、「改革」ベクトルを同じくする2人の首長が共闘・協調すれば、納税者への顧客サーヴィスという「あり方」は、『大阪都』という「かたち」の誕生前から、容易に迅速に改善し得たのです。両社が合併せずとも阪神なんば線と近鉄難波線が相互乗入を開始し、神戸から奈良まで同一車両で移動可能な利便性が高まった様に。
 が、立派な勉強部屋をこさえてくんないから一向に成績が良くならねぇと駄々を捏ね続けました。昔はミカン箱を机代わりにしたもんだ。お前さんが文教予算を減らしても図書館というハコ自体は残っとるし、行き帰りの電車でも予習・復習は出来るだろうよ。“地頭”を持ち合わせた納税者なら、「青空教室」で学んだ世代ならずとも一様に抱く違和感です。
(後略)

 

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