記事(一部抜粋):2015年6月号掲載

社会・文化

地盤改良工事に「反社」が跋扈

薬液の量を操作して裏金を捻出

 東日本大震災以降、地盤改良工事が各地でおこなわれている。耐震性を高め安全を確保するうえで必要不可欠な公共工事だが、一方で、「反社(反社会的勢力)が工事に入り込んでいる」「政治家に資金が流れている」といったよからぬ話も聞こえてくる。そうしたなか、さる現役の暴力団幹部が、自身が直接かかわったという地盤改良工事、さらに政治家への資金環流について語った。
 幹部は、建設業者Z社の代表という肩書きだが、実は現役の暴力団員。最近まで西日本にある某空港の滑走路の地盤改良工事に従事していたという。
「工事の発注者は国土交通省の某地方建設局。元請けは海洋土木を得意とする準大手ゼネコンでした」
 ここに、幹部がつけていたという手帳がある。2015年1月のページには、こんなことが書かれている。
《新年より作業始まる。目標に向かい半歩一歩》
「地盤改良工事というのは、元請けにしても、手がけるところはだいたい決まっている。寡占状態といってもいい。それだけにいろいろと工作ができる地盤というか土壌がある。改良すべき土壌は、むしろこちらじゃないかと思うんですよね」
 軽口を叩きつつ、さらにこう続ける。
「地盤改良工事を手がける業者はそれほど多くないだけに、ひとたびルートをつけたら、あとは、ほぼ自動的に仕事は入ってくる。元請けの下にはどこどこが入って、その下にはいつものどこどこがという具合で、まず仕事は途切れない。今回の空港の工事では、準大手ゼネコンの下に、都市土木分野を得意とする建設会社(上場)が入り、その下に地元業者のK社が入った。私はこのK社の社員という名目です」
 再び手帳に目を向けると、1月6日にこんな記述がある。
《PM4:00 Y、T(※手帳にはもちろん実名が記入されている。K社の代表)「A」(料理屋の名前)にて逢う 夜、安全講習》
 翌1月7日からは早速、工事に入っている。暴力団の現役幹部が、国が発注した地盤改良工事の現場に、部下数人とともにしっかりと入っているのだ。
「元請けの下に来る業者とのルートができれば、いつだって現場に入れる。コンプライアンス云々はここではあまり関係がありません」
 この幹部はもうひとつの“資金源”にも関与しているという。
(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】