記事(一部抜粋):2015年3月号掲載

社会・文化

取調室で死亡「容疑者」の死因

原因は薬物?それとも……

 2月12日に警視庁本富士署内で死亡した容疑者の死因をめぐって信じ難い憶測が流れている。
 まずはその“事故”を伝える新聞記事をお読みいただきたい。
《警視庁は12日、大麻取締法違反容疑で逮捕した容疑者が警察署の取調室で死亡したと発表した。近く遺体を解剖して死因を調べる。組織犯罪対策5課によると、11日午後1時ごろ、東京都新宿区のマンション一室で大麻を持っていたとして、男女3人を大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕。このうち練馬区の無職男(24)が、本富士署で取り調べ終了後に意識を失っていた。警察官が気付き、病院に搬送したが死亡が確認された。同課は対応に問題はなかったとしている》(産経ニュース)
 記事では死亡したのは無職の男とされ氏名も伏せられているが、男は某広域暴力団の有力二次団体・X会の構成員でIという。実はこの大麻所持での逮捕と死亡事故、警視庁が注力するX会壊滅作戦がそもそもの発端になっている。
 警察がX会に切り込む端緒は、今年初めに発生したある殺人事件だという。捜査を担当したのは組織犯罪対策第三課。捜査一課ではなく組対三課が出張ってきたのは、殺したのも殺されたのも暴力団の構成員だったからだ。
 事件後ほどなくして犯人は逮捕される。
「殺しを指示したのは誰だ? そもそもお前は被害者のことを知らなかったんじゃないのか?」
 捜査官はそんな調子で容疑者を徹底的に追い詰めたとされる。
 警察は実行犯に指示を出したと疑われる人物にこだわっていた。
「その人物はX会幹部のZ。高齢の現同会トップにかわっていずれトップに立つのではないかとも目されている。そのZを殺人教唆ででも引っ張ることができれば、X会に大きな打撃を与えることができる」(捜査関係者)
 しかし、その目論見通りには事は運ばなかった。実行犯が「上からの指示」を徹底して否定し続けたからだ。
 しかし諦めきれない警察は執拗にZの周辺を洗いに洗う。本人には行確(行動確認)を常時つけるようにもなった。
 そうしたなか2月11日、冒頭の新聞記事の通り、警察は動いた。X会の関係者が言う。
「Zの息子の部屋にガサを入れてきた。道具(拳銃)を探しに来たんだ」
 この関係者によれば、ガサが入ったのは午後1時ころで、部屋には3人の若者がいた。当のZの息子、その彼女、そして後に本富士署で死亡するI。Zの息子とIは構成員、彼女は一般市民である。
 ガサ入れでは目当ての拳銃こそ出てこなかったが、妙な物が出てきた。
(後略)

 

※バックナンバーは1冊1,100円(税別)にてご注文承ります。 本サイトの他、オンライン書店Fujisan.co.jpからもご注文いただけます。
記事検索

【記事一覧へ】