記事(一部抜粋):2015年2月号掲載

社会・文化

芦屋大学「資産激減」で窮地に

10年で10分の1、無借金経営からも転落。その陰で……

 日本屈指の高級住宅地・芦屋市六麓荘町にキャンパスのある芦屋大学は、そのロケーションから、「お坊ちゃま大学」のイメージが強い。実際、ソニー会長の盛田昭夫氏(故人)が、産業教育学科(経営教育学部の前身)を激賞し、長男の英夫氏(女優・岡崎友紀の元夫で現在ジャパン・フード&リカー・アライアンス会長)を同大学に入学させるなど、有名企業経営者の子息・子女が数多く在学していたことで知られている(かつては「経営者2世の育成」を謳っていた)。
 しかし今、その芦屋大学の経営母体である学校法人芦屋学園に“異変”が起きている。学園関係者のひとりがあきれ顔で言う。
「このわずか10年ほどの間に、学園のカネが急速に流出しているのです」
 芦屋学園の貸借対照表の推移を見ると、確かに異変が起きていることがわかる。その最たるものが、流動資産の著しい減少だ。
 2004年度に101億3532万円もあった流動資産が、直近の13年度には8億8250万円と、この10年で実に10分の1以下まで減っているのだ。
 流動資産の大半を占めるのは現預金と有価証券である。04年度にはそれぞれ64億101万円、35億1482万円だったが、その後年々減り続け、09年度にはそれぞれ19億2432万円、24億8319万円にまで減少した。翌10年度には現預金が底をつくのを恐れたのか、有価証券をすべて売却して、現預金を40億5733万円まで回復させたが、その後も流動資産の減少には歯止めがかからず、13年度の現預金は7億2282万円となっている。
 要するに、この10年で、35億円の有価証券がすべてなくなり、潤沢だった現預金も64億円から7億円に激減したわけである。
(中略)
 そうした最中、ついに『公益通報書』が芦屋学園の事務局に提出される事態となった。
 公益通報書とは、平たくいうと内部告発文書のこと。内部告発をする者は、9年前に施行された公益通報者保護法で法的に保護されることになっている。
 では、その公益通報書には何が書かれているのか。一部を引用してみる。
《7年間で(05年度末〜12年度)81億7037万1554円、年平均11億6719万円あまりの減少率を見ると、学校法人芦屋学園は破綻に向かっていると言わざるを得ません。
 文部科学省からも経営改善のための指導を受けており、そのような逼迫した経済状態において、年3000万円以上の損失を出すことは、極めて違法性が強く、刑事責任(背任罪)が問題となると言わざるを得ません……》
 この3000万円の損失については、ここであえて触れることはしないが、“刑事責任”という文言まで出てくるのだから、おだやかではない。
 ところで芦屋学園の現在の理事長は大八木淳史氏という。その名前を聞いてピンとくる人もいるだろう。伏見工業高校→同志社大学→神戸製鋼とラグビー界の王道を歩んだ、日本ラグビー界のスーパースターだ。
(後略)

 

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