記事(一部抜粋):2014年11月号掲載

社会・文化

相場操縦事件の裏で囁かれる「信じ難い噂」

【ズームイン】

 早稲田大学の投資サークルOB2人が、違法な手段で意図的に株価をつり上げたとして金融商品取引法違反(相場操縦)罪で在宅起訴された──というニュースが飛び込んできたのは10月8日のことである。
 在宅起訴されたのは東京都豊島区の無職、有江正宏(35)と荒川区の会社役員、布浦隆司(32)。起訴状などによると、2人は昨年2~8月、東証1部上場の「神戸製鋼所」や「オリエントコーポレーション」など4銘柄の株取引をめぐり、大量の売り注文を出すことで他の投資家に売り注文を出させて安値で株式を買い付けたうえ、その後は買い注文を大量に出して株価を上昇させ、保有する株式を売り抜けたとされる。
 この手法は「見せ玉」と言われるもの。大量の注文を出すことで株価を上げ下げし、株価が目的とする水準に達したところで注文を取り消すというのがミソで、誘いに乗って注文を出してしまった他の投資家が被害を被る。大量の注文を出せる資金力のある仕手筋の常套手段で、2009年にも早稲田大学の投資サークルOBが同じ罪で立件されている。
 もちろん、いったん出した注文を取り消すこと自体は違法でもなんでもない。株価を操作する目的で大量の注文を出し一般投資家を欺くと違法になるが、どこからが違法かの線引きは難しく、機関投資家のなかには、見せ玉を疑われる注文を出すところも少なくない。
 今回、在宅起訴された2人の早大OBは容疑を認めているといい、見せ玉まがいの注文が横行する市場に対する格好の“見せしめ”にはなったようだが、実はいま、この早大OBが仕掛けた株価操縦を利用して、一儲けした別の一団が存在するという噂が、一部で囁かれている。
「非常にややこしい話なのですが、事件が告発されてから、対象となった銘柄について改めて解析したところ、予想もしなかった事実が浮かび上がってきたというのです」
 そう語るのは、さる金融庁関係者である。
「2人が立件されたのは、言うまでもなく証券取引等監視委員会が東京地検特捜部に告発したからですが、告発するためには、彼らをある程度泳がせて、違法な注文をした証拠をつかむ必要がある。その泳がせていた期間に、彼らが手がけていた銘柄に異常な動きが見られたのだそうです」
(後略)

 

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