記事(一部抜粋):2014年8月掲載

経 済

GPIFは高値売りの受け皿、アベノミクスはアベノリスク

【証券マン・オフレコ座談会】

(前略)
B 話を変えるけど、国内の新規上場(IPO)企業数が、リーマン・ショック前の水準に回復したというね。今後も増え続けるのだろうか?
C 上半期(1月〜6月)のIPOの数は26社。そのうち規模が大きかったのは、再上場となった西武ホールディングスの6800億円、液晶パネルのジャパンディスプレイの3600億円、それに日立マクセルの960億円。下半期はリクルート・ホールディングスなどの大型IPOが控えているから、上半期を上回るのは確実。
B リクルート株は時価総額でどのくらいになりそうなの?
A 1兆円は超えると言われているね。個人株主もかなり多いようだから、久々にIPOで株長者が続出するかもしれない。
B 株価は?
C その時の人気次第だけど、1万5000円〜1万6000円くらいかな。
B ただでさえ大型増資が相次いでいるのに、IPOまでラッシュで、マーケットは大丈夫だろうか?
A 背景には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本構成の見直し問題がある。
B GPIFで日本株を支えると?
A そういうこと。株価はわかりやすく言うと水槽の中の水位。水は資金と考えればいい。水(資金)を入れさえすれば、水位(株価)は上がる。しかし、大型増資は通称「箱」と呼ばれる上場株の水槽自体を大きくするもの。水の量が変わらずに水槽だけを大きいものに換えると、水位は下がってしまう。IPOも同様で、新しい資金が入らないと箱ばかり増やすことになるから、マーケットにはマイナスだ。
C だからGPIFを改革して、株式の運用比率を高めるということを、安倍政権は世界に公言しているんだろうね。それがわかっているから、財閥系を中心とする大企業が大型増資とIPOに積極的になりだした可能性が高い。
A 外国人投資家もそれがわかっているから、昨年日本株を大きく買い越した。なにしろ、買った株式を高値に維持さえしておけば、日本の公的年金が買ってくれるわけだから、こんなおいしい話はない。
B そう言えば、東京証券取引所が6月中旬に発表した13年度の株式分布状況調査によると、上場企業における外国法人等の株式保有比率は30・8%と過去最高を更新し、日本の金融機関を上回り外国人投資家がニッポン株式会社の筆頭株主に躍り出たらしい。
(後略)

 

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