みずほ銀行の頭取が1月23日、電撃辞任を発表し、改めてクローズアップされたのが、企業と反社(反社会的勢力)の関係。「当社は一切、関係ありません」などと声高にいう企業ほど、裏では反社に食い込まれているというのも、決して珍しいことではないらしい。たとえば大手流通企業グループのX。年間数兆円の売り上げを誇る我が国有数の企業グループだが、その巨大な組織の一部で、反社と密接な関係が築かれれていることがわかった。
Xの店舗の内装をほぼ一手に引き受けているL社という業者が奈良市にある。2002年の設立、従業員30人足らずのこの内装業者が、どうして全国に数百あるXの店舗の内装をほぼ一手に引き受けられるのかといえば、ひとつは、L社の創業者がXの元関係者、いわば身内であり、信頼に足る人物だからである。
内装工事といっても、L社が受け持っているのは防煙垂壁の取りつけだ。Xの店舗の各フロアの天井には、厚く大きな透明の板が天井に向けて垂直に取り付けられているが、それが防災垂壁(業界では略して防垂と呼ばれる)。法律で設置が義務づけられており、万一火災が起きた際には煙の拡散を抑える効果がある。
東日本大震災以降、設置義務がさらに強化されたことに伴い、Xは目下、全国の店舗で防垂の新設、増設、メインテナンスを進めている。それを一手に引き受けているL社に、反社が深く侵蝕しているというのだ。L社関係者がいう。
「防垂の工事はL社がXから一手に受注しているわけですが、L社が直接、工事現場に出張るわけではなく、実際に作業するのは下請業者です。下請けは、営業時間外の深夜、L社の名前の入ったヘルメットや作業着を着けて現場に出向いて工事やメンテをするのですが、その下請け業者が、反社のオンパレードなんです」
工事ごとに出されるL社の工程表を示しながら、関係者は説明を続ける。
(後略)