英紙フィナンシャル・タイムズが「ジャパニーズ・マフィア・スキャンダル」と報じたみずほ銀行による暴力団への融資問題。2年以上も事実を隠蔽し続けた挙げ句に、発覚後の説明も二転三転という失態こそが今回の問題の本質であり、いまだに続く前身の興銀、富士、第一勧銀の縄張り意識によるガバナンス、自浄能力の欠如は致命的だ。舞台となった旧第一勧銀系のオリエントコーポレーションは経営不振から2010年にみずほの持分法適用会社になったが、「主導したのは個人営業部門を仕切る旧富士で、オリコの顧客基盤を利用してきたのも旧富士ラインだった」(みずほ幹部)ことも対応を遅らせたという。
今回の件が金融庁の面子を潰したことも見逃せない。報告は担当役員止まりだったというみずほ側の虚偽の説明を見抜けなかったことで、当然のことながら金融庁検査の信頼性への批判が起きている。
11月初旬、金融庁は三菱UFJ、みずほ、三井住友の一斉検査に着手した。みずほに対しては、2003年の旧UFJ銀行のように検査忌避による刑事告発までは踏み込まないとみられるが、「第2のみずほ」が炙り出される可能性は否定できない。
一方で、みずほ銀行が絡んだ警視庁が内偵を進めている案件もある。みずほがメーンバンクの大手飲料メーカーA社と中堅食品加工B社が関与した反社会的勢力への名義貸し疑惑。A社の創業者一族の資産管理会社C社からの要請で、B社の社員が暴力団員に名義を貸してみずほ銀行へローン申請したというもので、今後の捜査の行方が注目される。
ところで、暴力団融資はオリコ以外でも、新生銀行グループの信販大手・アプラスや三菱UFJ系のジャックス、三井住友系のセディナで表面化が相次ぎ、消費者金融では新生銀行系列のレイクや三菱UFJグループのアコムで発覚するなど枚挙に暇がない。それもそのはず、「信販だけでも暴力団絡みの融資は優に数百億円を超える」(金融関係者)というのだから、消費者金融、さらには銀行本体も含めれば膨大な額にのぼる。
(後略)