税金は、収入という入口、支出という出口、その何れかで徴収するしかないのです。が、入口で把握可能なのは給与所得者の収入の9割、自営業者の6割、農家に至っては4割に留まる「964」状態が続いているから、せめて出口だけでも公平に、と24年前に消費税は導入されました。
けれども、入口の不公平感は一向に改善されず、それは企業間にも存在します。財務省のデータに拠れば、株式会社の7割は、国税の法人税と地方税の法人事業税を1円も納めていません。連結決算を導入する超大企業ですら、66%が同様です。利益に対して課税する仕組だからです。
累積債務超過の会社を買収して連結決算に組み入れ、負債を一括処理して赤字決算となると、翌年以降に黒字転換しても自動的に最大7年間、法人税も法人事業税もゼロ円となります。経営状態の悪い別の企業を半ば計画的に買収すれば、再び赤字転落へ。永遠に同じ繰り返しが可能です。
この理不尽な状況を改善する上でも、事業規模や活動量を基準に課税する外形標準課税へと抜本的に刷新すべき。事業所の床面積や従業員数、資本金、更に付加価値等の外観から客観的に判断可能な基準を課税ベースとして、税額を算定する方式です。既に地方税の一部に外形標準課税は導入済み。
赤字企業でも事業収入自体は存在。全ての企業が広く薄く外形標準課税で納税すれば、法人税率を現行の3分の1に引き下げても、全体では逆に1割の税収増となるのです。更に完璧な新税制を確立すればノーベル経済学賞!
今や何処で何人働き、何を幾つ作って、何処で幾つ売れたか、瞬時に把握可能な時代。消費税と同じく、事業展開しているそれぞれの地点で、事業量に応じて納税する仕組を構築すべきです。
而して「地域主権」を唱和する面々こそ、外形標準課税の全面導入を求めるべき。各地の自治体が支度金も用意して工場誘致を実現しても、法人税は東京や大阪の本社登記地に支払われるから、多少の雇用が見込めるだけで税収増には繋がらないのが現実です。
(後略)