記事(一部抜粋):2013年10月号掲載

経 済

五輪関連株・本命は7月高値銘柄

【証券マン・オフレコ座談会】

(前略)
A 前回敗れはしたものの、東京が開催に名乗りを挙げたのは、1964年開催の東京五輪時代に整備した巨大なインフラが寿命を迎えているという背景があった。これらの施設は国立の施設を除き、東京都に移管されているため、都は維持管理に莫大な費用がかかっている。Cさんがいうように、五輪開催となれば、国土強靭化の名の下、巨額のインフラ整備をしても国民の賛同は得られやすい。
B 前都知事の石原慎太郎が開催地に名乗りを挙げた背景には、東京都の老朽化したインフラ整備問題があったと?
A そう。前回、今回と五輪招致委員会で活躍した元総理の森喜朗が、乗り気でなかった石原を説得したといわれている。
B 道路株で本命は?
C 道路に限ると、JXホールディングス系の「NIPPO」。舗装最大手で子会社には陸上施設や野球場施設の建設を手掛ける長谷川体育施設があり、多くのアスリートを抱えている。株価は開催決定前(9月6日)の1608円から、開催決定後の9月11日には2005円まで上昇、7月12日の高値1918円を超えた。
B 他の銘柄は5月高値が多いのに、なぜ建設関連株は7月高値が多いんだろう?
A それは日本時間の7月3日、スイスのローザンヌで国際オリンピック委員会(IOC)で開催計画に関するプレゼンテーションがあったからだと思う。要はその段階で東京開催が事実上内定した可能性が高い。
B そういえば、都知事の猪瀬直樹がプレゼン後のツイッターで、「ローザンヌ、プレゼン終了。大成功でした」と書き込んでいたそうだ。
A 重要なのはプレゼンでも開催計画書でもなく、IOC委員へのロビー活動。前回はこのロビー活動の詰めが甘かった。だから、今回の招致委の決起集会で森元総理は、「前回のコペンハーゲンで負けた後、ここにいる水野さん(水野正人・招致委専務理事)が、『IOCのみなさんのこと信じられへんわ、嘘つきばっかりやわ』といっていた」と挨拶して、最後まで気を緩めないように戒めていた。
C 五輪関連銘柄の話に戻るけど、7月高値を見ると、いま名前が出た招致委専務理事の水野が社長を務めていたスポーツ用品メーカー「ミズノ」や、五輪関連の施設警備の特需が発生する「セコム」などがある。案外7月高値銘柄が五輪の本命かもしれないよ。
A その可能性は高いと思う。というのも、株式市場は究極のインサイダーの世界だから、7月のプレゼンで東京の可能性が高いことを肌で感じたチーム・ジャパンのメンバーから情報が流れ、5輪特需関連銘柄の株価に影響を与えた可能性は否定できない。
C ミズノといえば、創業者である水野利八が高校野球の生みの親で、野球用品業者として唯一、野球殿堂入りを果たしている。野球とは切っても切れない運命にあるため、野球に特化しすぎて、ランニング・ブームに乗ったアシックスに水を開けられる結果となった。
B たしか水野正人の長男がフジテレビ系のニュースキャスターと結婚した際、媒酌人がフジテレビ会長の日枝久夫妻で、披露宴には巨人の長嶋茂雄と松井秀喜が出席したはず。野球関係者はこの2人だけだった。
(後略)

 

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