(前略)
宮城・仙台市の家電量販店の土地購入などを仲介した不動産ブローカーの男が、所得税およそ1億1000万円を脱税していた疑いで、横浜地検に逮捕された。所得税法違反の疑いで逮捕されたのは、神奈川・横浜市の不動産ブローカーで韓国籍の伊藤智雄こと、尹智雄容疑者(46)。
(中略)
その尹については、反社会的勢力との関係を指摘する声がある。
「暴力団との親密さをほのめかす一方で、実際、暴力団に便宜を図っていたといわれている。『使える不動産屋』などと重宝がられていたという情報もある。仙台の一件は尹の仕事のほんのひとつに過ぎない。しかし構成員というわけではないので、なかなか手をつけることができなかった。ところが脱税で検察が挙げてくれた。尹を叩けば、マル暴が直ちに出てくるだろう。そうなれば、我々の出番だ」
そう語るのは警視庁組織対策第3課のある捜査員。
警察が検察に感謝することは滅多にないし、検察がマル暴ものの事件を手がけることもまずない。何とも珍しいパターンだが、この捜査員によると、尹については不動産のほかにも、反社との間の違法な取引の疑いがあるという。
それが事実であれば、警察にはマル暴がらみの徹底した捜査を期待したいが、一方の検察にも、国税当局から上がってきた今回の脱税事件とは別に、独自に捜査を進めてしかるべき案件があるのだ。
尹の逮捕・起訴で胆を冷やしているだろう一人に、東証一部の名門企業「H不動産」の幹部X氏がいる。
単刀直入に言うとこのX氏、尹とタッグを組み、H不動産幹部という立場を最大限利用して利益を貪っているという。
尹とX氏のコンビが手がけた事案に複数回携わった、ある事業家がいう。
「尹はアーチエステートという会社で、X氏と一緒に大きな物件をいくつも手がけてきた。一方は、暴力団の陰がちらつくやり手。もう一人は老舗中の老舗不動産会社、国内すべての証券取引所の大家であるH不動産の幹部。硬軟織り交ぜてやりたい放題ですよ。ここに、彼らが手がけた物件のリストがあるが、彼らはこれで結構な利益をあげ、X氏はそれで愛人の家まで建てている」
そう言って実業家が差し出したリストには、たしかにいくつもの物件が記されている。
(後略)