記事(一部抜粋):2013年7月号掲載

経 済

乗り合い型保険ショップに暗雲

【情報源】

 4月号の本欄で「生損保販売代理の大手A社に脱税疑惑」として取り上げたほけんの窓口グループの周辺が慌ただしくなってきた。創業社長の今野則夫氏(4月に社長辞任、現顧問)の不動産取引をめぐる消費税の不正還付疑惑ですでに国税の査察が入っているが、いよいよ東京地検特捜部が消費税法違反容疑で捜査に着手する模様。また、5月初めにソニー生命保険に金融庁の検査が入ったが、直後に親密な関係にあるほけんの窓口グループにも検査が入っている。同社は「乗り合い型保険ショップ」の最大手で、人気俳優を起用したテレビCMや女子プロゴルフの冠スポンサーなど年間25億円ともいわれる巨額の広告宣伝費によって急成長を遂げただけに、事件化すればダメージは計り知れない。
 保険の規制緩和に乗じて複数の保険会社の商品を比較しながら来店客に提案・販売する新興勢力の乗り合い型保険だが、ここにきて雲行きが怪しくなってきた。
 6月7日には金融庁の金融審議会作業部会で保険ショップに対する規制強化策が提示され、業界に激震が走った。背景には、乗り合い型は公正・中立を謳いながら、販売手数料の高い商品に誘導しているのではないかという疑念がある。ある業界関係者は「各保険会社から販売のノルマが課せられ、クリアできないと手数料の減額や代理店契約を打ち切られることもある」と裏舞台を打ち明ける。一方で、「販売実績を大きく伸ばすと保険会社から様々な特典や最大4割ものバックリベートがある」(大手保険ショップ)という。そこで金融庁が、これまで監督対象外だった保険ショップの規制強化に乗り出したわけだ。
 規制では致命傷になりかねない販売手数料の開示は見送られそうだが、比較可能な商品や特定商品提示の明確な説明の義務付けとともに、「公正・中立を強調して顧客を誤解させない規制が盛り込まれる」(金融庁関係者)という。いうまでもなく、この業態の最大のセールスポイントは公正・中立な立場で顧客の利益を優先するところにある。パンフレットやCM、ホームページ上で「公正・中立」の表記が使えなくなれば、一気に顧客離れが進む恐れがある。
(後略)

 

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