安倍政権の経済政策「アベノミクス」を巧みに利用した投資詐欺が横行している。
資産バブルや景気回復期待という庶民の心理を突き、「アベノミクス効果で株や不動産が暴騰する」「急速な円安で外貨投資が儲かる」といった印象深いフレーズを駆使して株式や新興国通貨への投資を呼びかける手口で、なかには「年利19%の債券や実態のない金、プラチナへの投資を勧誘するケースもある」(大手商品取引業者)。
さらに、富裕層や高齢者をターゲットにした架空の未公開株購入話も目立つという。
世界的な資源争奪戦が繰り広げられるなか、新資源を材料にした新手の投資詐欺も横行している。シェールガスの開発権や施設運用権、太陽光発電事業の配当権利証への架空の投資話で数百万円を騙し取られる被害が出ており、「判明しているシェールガス絡みの投資被害だけで300件を超える」(警察関係者)という。
今年3月に政府が初めてガス産出に成功した次世代エネルギー「メタンハイドレート」でも採掘権や関連企業の債券への投資勧誘が頻発。あらゆる再生可能エネルギーをエサに詐欺集団が跋扈している。
これまで多くの中小零細企業が事業者金融詐欺の生け贄になってきたが、今回は金融円滑化法終了に伴う全国で10万を超える倒産予備軍にハイエナが群がっている。東京のA社は、「与信の結果、融資が決定しました」との審査結果通知書を零細業者へ送り付け、「金利1.1%、限度額1500万円、担保・保証人不要、即日融資可能」を謳う。通知書には役員や担当者の印鑑や審査機関として大手民間調査機関名まで記入。ホームページには貸金業登録番号や関東財務局長認可番号、日本資金業協会会員番号を明記、大胆にも担当者の顔写真まで掲載している。もちろんこれらはすべて無許可であり、会社の実態すらない。
商品だけ受け取って代金を支払わない、いわゆる「パクリ屋」も相変わらず後を絶たない。換金性の高い薄型テレビやオフィス用品、最近ではタブレットやLED照明などの商材を狙って、極度の販売不振に喘ぐ業者に対してさかんに新規取引をアプローチしている。少額の取引から食い込み、当初は代金を払って信用を勝ち取って次第に取引額を吊り上げ、「最終的に多額の取引をしたところで行方をくらます」(金融ブローカー)のが彼らの常套手段。代表や役員を頻繁に入れ替えて事務所を転々、巧みに実態を覆い隠す。
(中略)
広域暴力団が絡んだ中堅石油卸D社の脱税疑惑が思わぬ展開を見せている。同社をめぐっては、重油と軽油を混ぜる手口に先物取引を絡ませるという経理操作に国税当局のメスが入り、大がかりな所得隠しでの摘発が取り沙汰されていた。さらに、その脱税マネーが某広域暴力団へ還流、「捜査当局がD社の取引銀行へ口座照会するなどカネの流れの解明を進めていた」(金融関係者)という。
(後略)