(前略)
本欄昨年11月号で「大型脱税事件として注目されている貸ビル大手A社」として取り上げた丸源の川本源司郎社長が、東京地検特捜部に法人税法違反容疑で逮捕された。同社は東京・銀座を中心に高級クラブなどが入居するソシアルビルを50棟以上所有しているが、不況で賃貸収入が減少、ビルの売却でも損失を抱えたとして赤字申告をしていたが、テナント賃料の一部を売り上げから除外、約8億6200万円を脱税していた。川本社長は一代で3000億円もの資産を築き、「銀座の不動産王」ともいわれた人物。以前から国税はグループ会社の新設や移転、商号変更、解散という不透明な動きに目を付けていたが、「移転などを頻繁に繰り返されると担当税務署も変わり、資金の流れや帰属が掴みにくく、なかなか立件に至らなかった」(国税OB)という。
脱税といえば、生保や損保販売代理の大手A社にも脱税疑惑が取り沙汰されている。消費税還付をめぐってグループ会社B社を国税が内偵し、流動的ながらも「地検への告発も視野に入れている」(司法関係者)という。A社は全国に200を超える営業拠点をもつだけに、事件化すれば生損保業界にとって大きな打撃になりそうだ。
海外ファンドのコーディネーター的な業務を手がけるC社の周辺も騒がしくなっている。C社は役員が某一流大学や某大手商社出身者で占められ、マスコミにも度々取り上げられている。ところが、ここにきて「いくつかの法令違反が囁かれている」(大手紙デスク)模様で、証券取引等監視委員会や消費者庁が関心を持っている。(後略)