埼玉県内で2つの準総合病院と特別養護老人ホームを運営する「彩優会」という医療法人社団がある。規模こそ中堅といったところだが、実はこの彩優会、様々な意味で有名である。加えて目下、その有名度をさらに上げるような騒動が起きており、各当局がジッと自分たちの出番をうかがっているところなのである。
彩優会が有名なのは、元理事長で、現在は同社団秋谷病院(幸手市)の院長を務めている秋谷昭治氏の経歴に由来する。
秋谷氏は、第104代埼玉県会議長(2002〜03年)を務めた元有力議員(自民党)で、ひとたび同氏の名前を検索にかければ、ウィキペディアに始まって相当数のサイトがヒットする。。
秋谷氏は東京医科大学を卒業したことでも分かるように、元々は医者で、日本医師会の代議員を務めたこともある。
医者から政治家に転身するケースは決して珍しいわけではないが、病院の経営者が政治家になると、とかくマイナスの風聞が流れるもの。秋谷氏もご多分に漏れず、さまざまな風聞に悩まされてきた。
彩優会の理事長職を兼任していたころは特に、「社団の福祉施設のカネが秋谷氏の政治資金に消えた」「使途不明金が多すぎる」等々、もっぱら病院の資金に関する芳しくない風聞が流れ、07年の県会議員選挙で落選、再び医療の道に専念するようになって以降も、それは続いている。
手元に1枚の資料がある。右の風聞を具体的な数字によって示したものだ。こう記されている
(中略)
決算書として表に出ているものだけで、1億3000万円近い資金が秋谷氏とその家族に出ているというのである。しかも、未収金となっているものは言うに及ばず、貸付金(立替金含む)もほとんどが返済はなされていないという。
加えて決算書には計上されていない隠された資金が4300万円、都合、1億7000万円もの巨額の資金が、この医療法人社団から、秋谷氏並びに家族に出っぱなしとなっているのだ。
「それに書かれているのは、分かっている分の金額です」
そう言って溜め息をつくのは、彩優会の現理事長である秋谷行男氏。秋谷昭治氏の実弟である。
「そこに書いてある金額は、彩優会に全く戻っていません。兄は社団の社員理事なんですよ。組織の執行部にいる人が、その組織から多額の金を持ち出し、1切の返済をしていない。これだけでも立派な背任行為です。彩優会は、兄とその家族らの打ち出の小槌として使われたのです」(後略)