記事(一部抜粋):2013年3月号掲載

経 済

JASDAQ上場企業の株価と仕手株「解体屋」の哀れな末路

【証券マンオフレコ座談会】

(前略)
B ところで、「資産家夫婦殺害事件」だけど、被害者の霜見誠が著名な仕手株に関わっていたことが評判になっているね。
C ジャスダック上場のクロニクルのことだよね。社名の通り主業と社名だけでなく代表や役員、それにグループ会社の代表までコロコロ変わるので、年代別の社歴が必要な会社。霜見のファンドは2度にわたりこの会社に投資していたようだよ。
A 社名の変遷は富士物流、エフアール、なが多、そしてクロニクル。
B 4回も変わったの?
C ジャスダック公開当時の社長鈴木義彦は、その後、親和銀行の不正融資事件における特別背任容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。
B 役員だったタレントの山口もえの元旦那も逮捕されたよね。
C 尾崎茂雄はクロニクルとは関係ないよ。尾崎が事実上の経営者と見られた飲食店での風営法違反容疑、それと飲食チェーン店から1億2000万円が横領された事件への関与が取り沙汰されている。
A 実は、クロニクルがエフアールの名前で上場してすぐの頃、知り合いの証券マンから興味深い話を聞いたことがある。
B 興味深い話って?
A その証券マンの部下が知人の外資系証券マンの紹介で鈴木に会った際、「君のところの証券会社を幹事証券に入れてあげてもいいよ」と言われたみたい。
B それで入れてもらったの?
A 公開したばかりで「新たに幹事証券に入れる」というのもおかしな話だから、いろいろ調査した上で断ったらしい。なんでも「社長と親しいスーパーのオーナーが大株主で、そのスーパーが資金繰りのための手形を乱発しているのが気に入らない」と言っていた。
B それでそのスーパーはその後どうなったの?
A 山口組系の仕事師に喰いものにされた挙げ句、倒産した。そのスーパーのオーナーの売りで、エフアールの株価も急落したから幹事証券に入らなくて正解だった。
C 今回の事件で気になるのは、事件発覚前の1月15日の株価の動き。クロニクルは16円高の33円でジャスダックの値上がり率第1位だった。ちなみに2位はサハダイヤモンドで6円高の18円。3位はプリンシバル・コーポレーション(旧アイビーダイワ)で5円高の16円、ともに大商い。
B 3銘柄とも当局が作成したとされる「資本のハイエナ」チャート図に乗っている銘柄で、仕手筋がオモチャにする銘柄として知られているよね。
C 証券取引等監視委員会は徹底的にこの日売却した先を洗った方がいい。営業日で6日後の1月25日、クロニクルは「第3者調査委員会を設置する」と発表して、過去に提出した有価証券報告書を訂正する可能性を示唆したよ。(後略)

 

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